見出し画像

静寂と忘却

深夜に帰り静けさの中で飯を食らう。一度死んだわたしには丁度いい程の茶碗に映える白飯に汁物、その日の父親が作る一品が雑に在る。ほうばった腹は満たされて静かに横たわり、暗闇の中、再び覚めては風呂へゆく。

気づくと、重くなった太腿や脹脛に痙攣を覚えては散らかる部屋のベッドに溺れるように潜り、光を舞う鳥たちの嘔声に起こされて、昨日を鎮めて明日へと整っていく。

朝の静けさは、時に過去の記憶を繰り返し蘇らせ、痛みを蝕む。そこへ未だに佇むわたしを置いていくかのように過ぎ去るのだが、愛に包む他ないことも知り、暗闇で闇を忘れ光を求める自分を求めながら今日を生きる。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?