飛び立つ時に向かって
12月に入り、嵯峨の山並みは、
紅葉の彩りから冬のたたずまいに変わってきています。
本科の生徒さんは、修了制作の『着物』制作が本格化し、
作業に打ち込んでいます。
着物を着慣れた方も、普段ほとんど着ない方も、
自ら制作するのは初めて。
まずは、
「どんなものを作りたいか?」
イメージを持つところから始めて、
図面に起こし、実際に糸を染めて、準備を進めてきました。
機に糸をかけて織り始めたら、今度は、
「どんな色の緯糸を織り入れようか?」
試行錯誤の連続です。
着物制作の中で、織りの作業の占める割合は、3割位といわれます。
織り始める前の準備にそれだけ時間や手間が必要ということですが、
1つの作業が占める割合としては3割は大きいものだと思います。
経糸にもそれぞれ個性がありますが、
緯糸をどう織り入れていくかには、経糸以上に制作者の個性が現れます。
今はねむっている幼鳥が、やがて美しく羽を広げて空に飛び立つように、
色糸が刻々とかたちを変えて、着物の姿に代わる時を楽しみに、
日々見守っています。
今年も残りわずかとなりました。
皆様、どうぞ良いお年をお迎えください。
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