困難を前に、初めて「なぜ」を考える
多くの人がわかっているはずだが、なかなか行動に起こせないことがある。
最近気付いたことだが、自己啓発本やビジネス本を読んでいく中で、どうしてもHOW (やり方) に注目してしまう人が多い。かく言う私も例外ではない。例えば価値創造の本を読んだとき、顧客志向だのイノベーションが大事だのそれを支える組織づくりが大事だの、頭の中で本の内容をもとにロジックツリーに書き写してしまう。一種の翻訳とも言えるその行為は、読書家にとって必須スキルの一つとも考えられている気がする。
ただし、本当に大事なのは、WHY (なぜ) である。何のために、なぜいま、その本を、読むべきなのか。人によっては自己研鑽のため、仕事のため、趣味のため、色々あるとは思う。他人の読書にケチをつけたいわけではないのでHOWで終わらせて知った気になるのは大いに結構だが、ふと自分を見つめ直したとき、大切な限られた時間を写経とも言えるような読書法に費やしている暇はないと思った。
いわば論点や仮説、イシューとも言えるような、いまクリティカルに重要である(本を読む)動機を引っ提げていかないと、過去の偉人たちが文字に起こした圧倒的な情報量にただただひれ伏してしまう。例えば先ほどの例で言えばこうだ。
「そもそも価値創造がなぜ必要なんだろう」
「価値創造は何をもたらすのだろう」
「実現させる上で何が難しいのだろう」
「この本を読んだだけで価値創造が実現できない困難なことは何だろう」
「それを解決するためには実世界で何が(どんな状況が)揃えばいいのだろう」
これらの答えが全て書籍に載っていればいいのだが、万人の状況に当てはまるほど書籍は具体的な解答を提示してくれなかったりする。その抽象性ゆえに、イシューを元に自分の頭で補わなければならない。
ここからやや飛躍するが、これは読書に限った話ではないと感じている。仕事の提案資料、データ、ひいてはプロジェクトそのものについても同じことが言える。ただ状況を読むだけでなく、何が必要か、そしてなぜ行動すべきで、どこに向かうべきなのか。そもそもそのプロジェクトが真に必要かどうかを問わずに突き進んでしまう人さえ少なくない。
緊急性の高い、圧倒的な量の仕事を目の前にしている時こそ、ふと立ち止まって考えることは重要である。
何をするかは二の次である。なぜすべきか。何をすべきか。頭で分かっていても、自分自身が本気で困り、立ち止まらないとなかなか実行できないと強く思い知った。
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