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塚口ナートゥをご存知か? マサラ上映、初参加の感想

 2023年1月16日に塚口サンサン劇場で行われた、RRR無発声マサラ上映に参加してきた。

マサラ上映とは

 現在の日本では、映画を見るときは静かに見るものとなっている。しかし、それとは別に、歓声を上げることを許された応援上映という形式が存在する。
 私が過去に参加したことがある応援上映は、TOHOシネマズ梅田で行われた「ボヘミアン・ラプソディ」と「グレイテスト・ショーマン」だ。どちらも上映と共に歌を歌える、完成や拍手、手拍子が可能というのが売りだ。
 その応援上映のひとつとして「マサラ上映」がある。クラッカーを鳴らしたり、紙吹雪を撒いたり、踊ったりできる上映形式だ。主にインド映画の上映で企画されるが、インド映画以外でもマサラ上映は存在する。

塚口マサラ

 場末の映画館、塚口サンサン劇場。阪急塚口駅から徒歩1分の立地にあるミニシアター。ここは私がよく行く映画館で、ミニシアター系の作品で見逃してしまった作品などを鑑賞するのに重宝している。また、35ミリフィルムでの上映などもある。「妖星ゴラス」「魔界転生」「映画大好きポンポさん」などをこの劇場で鑑賞した。
 そんな塚口サンサン劇場がよくやっているのが「塚口マサラ」上映だ。いつもは週末の夜に開催される特別上映。塚口マサラはとても楽しいとよく聞く。このイベントに参加したいと思っていたが、私は土日は仕事のため、残念ながら参加できなかった。
 あこがれの塚口マサラ、今回は「RRR」を平日の昼間に開催される事になった。こうなったら参加するのみである。


準備編

情報収集

 今回のマサラ上映に関しての注意事項は、塚口サンサン劇場のブログに説明がされている。コロナ禍なのでマスク着用、無発声でのマサラ上映。紙吹雪、クラッカー、サイリウムライト可。鳴り物はタンバリンと鈴が使える。そしてサスペンダー推奨ということである。
 そしてマサラに必要な紙吹雪やクラッカーに関してはこちらのブログが詳しい。

ほとんどダイソーでそろえられる

 1月12日にオンラインでチケットを取り、マサラ上映の準備を始める。
 必要なものはクラッカー、紙吹雪を作るための素材、サスペンダー。これらを探しにダイソーへ行く。
 クラッカーはパーティグッズコーナーにあった。色々な種類があり、どれを買うか迷ったが、紙テープが飛び出すタイプ8個入りを3セットほど買う。
 紙吹雪は、折り紙120枚入りのものを3セットを買い、300円のペーパーカッターも一緒に買う。洗濯ネットもあると紙吹雪の撹拌に便利だというので、それも買ってみた。
 サスペンダーを探してみると、ちゃんと衣料コーナーに置いてあった。全部ダイソーで揃えられた。

どれだけいるのかわからん

 マサラ本番まであと3日。RRRをまだ見ていなかった私は、塚口サンサン劇場で鑑賞した。というかインド映画自体始めての経験だった。ひとまずこれで予習完了。あとは、紙吹雪をせっせと作るだけだ。

 塚口推奨の紙吹雪の大きさは4x2センチメートル。これをどのように作業するのが効率がいいか、試行錯誤をしながら進める。やっているうちに自分のやり方が確立され、だんだんと速く紙吹雪が出来上がっていく。できた紙吹雪は洗濯ネットへ入れていく。ある程度の紙吹雪が溜まっていくが、はて? これぐらいの量でいいのか。
 マサラ初心者の大きな壁となるのが、どれだけの紙吹雪とクラッカーが必要なのかがわからないということだろう。先人たちがどのようにしているのかをSNSで探ってみると、尋常じゃない量の紙吹雪を蓄えている。まさに紙吹雪職人だ。ここで心が折れそうになるが、あせっても仕方がない。自分のできることをやるだけだ。
 クラッカーは後日買い足して、音だけ鳴るタイプ10個入りを5セット追加した。クラッカーはみかんを買ったときのアミ袋に入れた。

参加編

いきなりトラブル

 マサラ当日。いつもは上映開始の10分〜5分前ぐらいに入場できるので、12時35分上映開始のなら12時15分ぐらいに到着で余裕だろうと思ったら甘かった。劇場に到着したら既に入場開始されていた。出遅れた。
 鳴り物のリングベル(鈴)を入手しようと、慌てて地下2階まで降りて、売店で聞いてみると、1階で売っているとのこと。無駄に階段を往復してしまった。1階にもどり250円で鈴を無事ゲット。
 しかし、この鈴、輪っかが小さくて私の手首には装着できなかった。残念。しかたなくこの鈴はメリケンサックのように持って鳴らすことになった。

リングベルがとどかない

 さらに悲劇は続く。入場時に小さな旗が配られていたのだが、座席について紙吹雪やクラッカーの準備をしている間に落としてしまったらしい。完全に私のミステイクなのだが、せっかく作ってもらったものを無くし、とても残念なことをしてしまった。

あれがガチ勢なのか?

前説をする戸村館長

 定刻になり、戸村館長が舞台に上がり前説が始まる。クラッカーが打ち鳴らされ、紙吹雪が舞い上がる。
 その紙吹雪が舞い上がる高さにビビった。そんなに高く投げられるの? もう少しで天井に届くやろ、ぐらいに高々と。これがマサラのガチ勢なのか?

 前説で、「RRRを見るのが初めての人手を上げてください」 若干名おられた。「塚口マサラが初めての人」は半分ぐらいの方が手を上げていた。私の座った席の周辺は初めての方が多かったので、なんとなくホッとした。

パンパン! シャンシャン! カンカン!

 前説が終わり、マサラ上映が始まった。予告編や映画泥棒からすでにクラッカーが鳴り響く。序盤は手探り状態で紙吹雪をまき、クラッカーの紐を引く。段々と勝手がわかってきて、楽しくなってくる。次のシーンはここでこうなるから、ここでクラッカーを発射しようとか、このへんで紙吹雪かなとかわかってくると面白い。
 私が特に良いと思ったのが、鈴を鳴らすことだった。音楽に合わせてリズムをとって鳴らすのが気持ち良い。さらに、エモーショナルなシーンで細かくシャンシャン鳴らされる鈴がいい。見ているみんなの気持ちが高まって、それが鈴の音になって館内に響き渡る。無発声だからこその良さではないだろうか。
 もう一つ面白かったのが、独房に閉じ込められたラーマをビームが探すシーン。地面を叩いて居場所を探るのだが、その時にカンカカカンカンと館内の色んな所から聞こえてくる。いやいや、それじゃラーマがどこにおるかわからんようになるやろ。

塚口ナートゥ

 前説であったのだが、ナートゥとエンドロールは強制スタンディングです、とのこと。RRRで最も盛り上がるナートゥのシーン、強制されなくとも立ち上がりますとも。あんな激しいダンスはできないが、立って手拍子してるだけで楽しい。みんなが立って踊っている、この一体感。これが塚口ナートゥだ!
 ハッピーエンドのエンディングも大盛りあがり。ここでの紙吹雪は相当な量で、本物の雪なら遭難してるかもしれない。ここで全部を出し切った感じ。

兵どもが夢の跡

 上映終了後、館内が明るくなると、足元の紙吹雪絨毯に驚く。記念撮影のあとお掃除タイムで終了。

感想編

鈴は最高のアイテム

 さて、初めてのマサラ上映はなかなか楽しいものだった。紙吹雪を撒きつつ、クラッカーを打ち鳴らし、鈴を振る。最初はぎこちないが、すぐに慣れる。
 紙吹雪はすべて使い切った。紙吹雪の素材は、折り紙よりも花紙のほうが薄くて軽くて良いと思う。
 クラッカーは半分余らせてしまった。クラッカーは音だけのものが良いかもしれない。紙テープが飛び出すタイプは、その紙テープが少し邪魔に感じる。
 私はクラッカーよりも紙吹雪を使うほうが好きだ。クラッカーはここぞというところで使うのがいいと思う。あまり鳴らしすぎてもよくないと感じた。
 サイリウムライトは数人が使っておられたが、私は映画館には向いていないように思う。映画館で別の光があると、かなり目立ってしまう。サイリウムやペンライトはコンサートなどの演者に向けてのものではないのだろうか。
 私がすごく気にいったのが鈴だった。前述したように、心を動かされた場面で鈴を鳴らすのがとても良い。いいぞ!ビーム、ラーマって感じで鈴を鳴らし紙吹雪を投げるのが最高。

インド映画は歌舞伎

 RRRで初めてインド映画を見たのだが、インド映画は歌舞伎や文楽に通ずるものがあるのではないかと感じた。音楽あり、踊りあり、派手な演出あり、日本人に受ける要素が多いと思う。そしてマサラ上映は、見栄を切った役者にたいして「成田屋! 中村屋!」などの掛け声に似ているような気がする。

最後に


 コロナ禍の中の無発声マサラ上映だったが、いつかまた発声OKのマサラができるように願う。そしてそのときは参加して思いっきり楽しみたい。
 そして、通常の上映の映画も、もちろん楽しみにしている。

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