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金木犀

10月のテーマ【金木犀】の蒸留会が終わりました。金木犀の素晴らしさについて、書きたいと思います!

今回蒸留したのは、福岡の八女産の金木犀です。

金木犀は、沈丁花、クチナシと並ぶ三大香木です。精油としては、収油率が低く、お花が繊細で熱に弱いので、抽出が非常に難しいため、大変高価で、中々本物を取り扱っている場所がありません。一方で、人工香料の金木犀の香りは、花の香りを比較的簡単に再現できることから人気で、香水などにはもちろん人工香料が使われています。精油も人工香料も、どちらも芳しく、優しい香りです。

自分で単離香料から作った金木犀

金木犀の属名の学名は、Osmanthus fragrans var. aurantiacus(オスマンサス・フラグと読みます)Osmanthusは、ギリシア語の「osme=香り」と「anthos=花」が語源。「aurantiacus」は「橙色」の意味があります。英語にするとFragrantalive=フラグラント・オリーブ。「fragrant」は「香り高い」という意味をもち、和名は漢名「木犀」の日本語読みで、樹皮が動物のサイ(犀)の足に似ていて金色やオレンジの花が咲くことから「キンモクセイ(金木犀)」とされたと言われています。

確かに、金木犀の花弁はサイの足みたいだ!

だとしても、金木犀の小さく儚いオレンジ色の可愛いお花がサイの足だなんて・・・。意外過ぎて、笑ってしまいました。

原産地の中国南部では、「丹桂(タンケイ)」または「桂花(ケイカ)」と呼ばれ、多くの金木犀が植林されたり自生したりしている様です。日本でもたくさん見かけますが、北海道と沖縄には存在しないそうなのです。気候や土壌的に適していないからですが、この事実を知るきっかけとなったのは、金木犀の蒸留をするとアナウンスした際に、北海道在住のお客様がメッセージをくれたからです。「金木犀は北海道にはない為、香りを体験したことがなく、どんな香りか分からない」とのこと。驚きました。北海道と沖縄は大好きな場所ですが、こんな芳しい香りの植物がないなんて、損している、届けたい!と思いました。(まだ届けてない)この2か所を除き、日本では、全国各地に分布しています。金木犀の香りがしてくれば、夏が終わり、秋の訪れを感じます。四季がある日本ならではの風物詩です。今年は暑かったので、例年より全国的に開花が遅かったのですが!それもまた、自然の良さです。と言いつつ、内心、蒸留イベントに間に合わないのではないかと、ハラハラしていました。今回は昨年、お邪魔した福岡八女の蒸留所から金木犀を仕入れさせて頂きました。有難うございます。

福岡県八女の蒸留所です。
金木犀は、焦る私に合わせて、蒸留所のおじさまが速達で送ってくれました。

こちらの蒸留所では、去年カボスを蒸留しに行きました。わざわざ八女まで行って抽出した蒸留水を、酔った夫が水だと思い、カップラーメンに使ったのを今でも覚えています。いずれバチが当たるだろうと思っていたところ、ちょうど一年越しの最近、運が悪そうなので、まさにカボスの香りの神様が怒っている!といった感じです。

様々な国産の精油を取り扱っていて、おすすめです。

話を金木犀に戻すと、涼しくなり、街中で金木犀の香りが漂い、香りの元を探しても、なかなか植物自体が近くには見つからないことがよくあります金木犀は、別名「千里香」とも呼ばれ、その名の通り、千メートル先まで届く芳しい香りを放つからと言われているからです。これにちなんだ素敵な花言葉もあります。そのうちの一つが「真実の愛」です。これは、離れていてもはっきり運命の相手だと分かるほど、香りが届き引き寄せ合ってしまい、その存在を隠しきれないことから、「真実の愛」という花言葉がついたと言われています。いいな~素敵です。その芳醇な香りに含まれる芳香成分で有名なのは、β-イオノン、リナロールなど。β-イオノンは、すみれの花にも含まれており、ベリーのような香りの成分です。リナロールは、癒しの作用があり、嗅ぐと私たちを幸せにしてくれます。

金木犀

金木犀は、見た目も可愛らしく、開花して4~5日で散ってしまうので、儚さがあります。実は、金さん銀さんみたいに、銀木犀もあるんです。同じモクセイ科の仲間です。

銀木犀はこちら。白いお花です。香りは金木犀より優しいです。

金木犀は薬理作用も優秀で、お花は薬草として利用されてきた、長い歴史があります。乾燥させたお花は、うがい薬の原料や、薬用酒の原料として白ワインやホワイトリカーに漬け込み、嗜みます。季節の変わり目、喉のいがいがや乾燥に悩んでいる方は、お茶にして飲むのもおすすめです。蒸留後の金木犀は、芳香植物を余すことなく楽しむ、がコンセプトなので、ちゃんとウォッカと白ワインにつけ込みました。

3年は寝かせると美味しい桂花陳酒ができるとレシピに書いてありましたが、我慢できず半日で飲みました!既にとても美味しかった!

世界三大美女の楊貴妃も、この「桂花陳酒」を好んで飲んでいたことで有名。美女を魅了した香り。美女と同じ飲み物を飲む、という思い込みだけでも美しくなれそうです。どうせ飲むなら、身体の内側から美しくなるものを飲みたい私は、今とても幸せな気持ちです。抽出した芳香蒸留水はお化粧水に。エッセンシャルオイルは、ハンドクリームにし、ブレンドしました。

今回2回にわけた、金木犀の蒸留会。どちらも満々席でした。お越し下さった皆様、有難うございました!皆様の千里香が見つかりますように~。
寒くなって来たので、体調を崩さないよう、旬の食べ物を食べて、香りある生活で整えていきましょう。来月はユズを蒸留します!

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