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夏山シーズン、ロッキー山脈をゆく


車は一路南を目指す。
次の目的地はコロラド州デンバー。

コロラド州と聞いて浮かぶのは美しい山々が連なる風景。 

州西部には4000メートル級の山々が連なるロッキー山脈を有し、全米一の平均高度を誇るコロラド州。
州都デンバーはアメリカ国内でも有数の大都市でありながら、自然との共生を大切にしている人が多く集まる街らしい。

今回はここからさらにロッキーマウンテン国立公園に向かう。

こんなにもせっせと国立公園をまわっているのは、今年ナショナルパークの年間パスを購入したから。

目が飛び出るような価格では決してないのだが、これを機にできるだけ行こうと計画を練っていている。

デンバー方向からロッキーマウンテンへ向かう景色
山がどんどん近づいてくる

ロッキーマウンテンナショナルパーク


ロッキーマウンテン国立公園は気軽なハイキングから本格的な登山まで楽しむことができるアメリカでも人気のナショナルパークの一つ。

4000m級の山々が連なり冬季は雪に覆われるため、6月から9月のいわゆる夏山シーズンに集中して観光客が押し寄せる。

この時はちょうど夏山シーズン真っ只中。
朝イチで入場するには予約が必要で、予約が取れなかった場合は午後からの入場となる。

今回は予約が取れなかったので、午後からフリー枠での入場となった。

ただ、入場ゲートは恐ろしいほどの行列だった。

教えてレンジャーさん

入場までの時間を利用して、インフォメーションセンターで情報を入手する。

どこの国立公園へ行っても、インフォメーションセンターは賑わっている。
特にレンジャーに直接アドバイスをもらえるインフォメーションカウンターは列ができるほどで、皆それぞれが自分好みのおすすめをたずねている。

地図もアプリも案内板も充実しているので「見ればわかる、調べればわかる」のだが、そうではなく皆直接聞きたいのだ。

この行為自体がナショナルパークの楽しみのひとつ、アメリカ流の楽しみ方なのだなぁと我々もそれにならう。

この日は高齢の女性ボランティアの方が対応してくれた。

「ここで高山植物が見られるよ」とか「こんな動物が見られるよ」と地図にたくさん書き込んでくれた。

自然が大好き、この山が大好きというのが溢れ出ていて、聞いているだけで幸せな気持ちになる。

5分ほどかけて丁寧に説明してくれ、「楽しんできてね!」と笑顔で送り出してくれた。


パーク内は車も散り散りとなりのんびり走行できる
雪渓の山頂が近づいてきた

標高3600mの絶景へ

レンジャーさんおすすめの、古くからある山道をのんびりとドライブしながら山頂を目指す。

ここは道幅も狭く一方通行のため、このルートを選ぶ車はあまりいない様子。

途中ずんぐりとしたリスのようなウサギのような愛らしい小動物が目にとまり、調べてみたらマーモット。

「あぁ、君がマーモットなのね!」

というのも、アウトドアのブランド名としても有名で登山好きならきっと聞いたことがある名前だろう。

ちなみに長年愛用している私の登山帽もマーモットだ。

こんなふうに目に留まった動物を気ままに観察し、少しずつ車は高度を上げていく。

森林限界を超え、たどり着いたのは標高約3500mにあるビジターセンター。

富士山が3776mだから、富士山の9合目あたりまで車で登ってきたことになる。

こんなところまで車で来られるなんてすごい!


ちょっと頭痛があるような気もするが、心配するほどの高山病の症状は出ていない。
以前富士山でひどい高山病に襲われたという夫も元気そうで一安心。

標高約3600mにあるビジターセンター
美しいカール

ここから数百m歩くと、この山のピークに到達することができる。

よく整備された歩道を登るだけなので登山と呼べるものではないが、酸素が薄いことと体がほぐれていないため、ゆっくりゆっくり歩を進める。

吹き飛ばされそうなほどの強風で体感温度は5℃を下回っていたのではないか。

ひんやりを通り越し、防寒着を重ねるが寒さでガタガタ震えた。

山頂では軽装の若者がぐったり座り込んでいる姿もみられた。

ほーら言わんこっちゃない。
ここは空気が薄いのだよ。
調子に乗って駆け上がっちゃーいかん。

立派な角を持つエルク
さりげなさすぎる山頂看板
標高3600m
山頂からさらに遠くに見える山々も美しい


高山植物も最盛期で、いわゆるお花畑も十分に堪能することができた。

なにより山々が何層にも連なる雄大な景色はただただ美しく、素晴らしい時間だった。 

本格的な登山ではなかったこともあり、達成感こそあじわえなかったが、強風に煽られながら歩くとかなり体力を消耗する。

すっかり体が冷え切ってしまい、車に戻るとすぐに暖房をつけた。

次の目的地は自宅

下山は対向一車線の舗装路をスイスイと進みあっという間に下界へ。

気温は再び25℃を上回り夏が戻ってきた。
すぐに暖房を止め、弱い冷房に切り替える。

ゲートを出る頃にはすでに夕刻8時に近づいていた。
夕陽が山々を赤く染める風景はとても幻想的で、この景色がなんとも名残惜しい。

背になっていく山の景色をあまりにも振り返っている私を見て、夫が車を停めてくれた。

離れ難い気持ちだったのだが、陽が沈んで山の赤みが消えた頃
「さてと、帰るよ」
と夫の一声。

カーナビの目的地を自宅にセットし走り出す。
ここから家までは1300キロ。

ありがとうロッキーマウンテン。
またすぐに会おう!



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