冬至を越えて | 季節を感じたご近所散歩を振り返る
フーッと気持ちが軽くなった気がした昨日は冬至。
一年で最も日照時間が短い時でもあり、ここから再び日が長くなってくる転換の時でもある。
アメリカ生活も間も無く一年。
ゆっくり流れる時間中で季節の移ろいを味わうことができた一年でもあった。
いつからか散歩が日課となり、とくに朝日夕陽の美しさは毎日見ても飽きるどころかその微妙な変化に日々心奪われるのだ。
そんな私の日常の散歩から一年を振り返ろう。
家から歩いて10分ほどの所にグレープバイン湖という名前の人工湖がある。
湖の周囲にはトレッキングコースが整備されており、昼間はマウンテンバイクやトレランを楽しむ人が多く訪れ活気に満ちている。
ここはサンセットポイントとしても有名で、夕刻ともなると見晴台は静かな賑わいをみせる。
土地勘が全くなかった頃は、近所の散策から始まった。
スニーカーで住宅街を散歩する日もあれば、トレッキングシューズを履いてこのコースを気ままに少し遠くまで歩く日もある。
その日の天気と気分で、自由気ままに行くのだ。
季節はまだ冬、枝ばかりが目立つ寂しい景色から始まり、春の芽吹き、そして新緑へと季節の変化を感じながら歩いた。
最初の頃は平日昼間のひとり時間を使って近所の探索だったのだが、面白い場所を見つけては夫を誘い、週末はふたりで散歩をするようになった。
運動不足だった夫は散歩へ行くと調子が良いらしく、平日も散歩行こうと夫から提案してくるようになった。ちょうど新緑が眩しい季節だった。
季節は進み、テキサスの夏が本気を出し始めた。
春先からすでに日差しの強さは感じていたのだが、6月頃にはさらに強度を増し、7月8月9月に至ってはほぼ雨は降らず、カラカラヒリヒリの夏、最高気温は40度前後の日が続いた。
内陸にあるダラスは湿度が低いこともあり日本の夏の方が体感的にはシンドイ印象だが、日差しの強さはそれはそれは強烈で瞬時に体力を奪う。
とてもではないが昼間出歩くものではない。
最高気温となるのは夕方17時ごろだが、
夏は9時頃まで明るいため、夕刻となっても外でのんびり動ける温度では無い。
そのような状況から自然と散歩は朝早い時間にシフトした。
こうして毎朝出勤前の夫とふたり、湖見渡すことができる広場までゆき、軽くストレッチをしてから家に戻り、お弁当を作り夫を送り出す。これが自然とできた我が家のルーティーンとなった。
周囲に高層建築物も、山もないこの辺では朝夕ともに、ほぼ地平線間際の真っ赤な太陽を見ることができる。
朝散歩をスタートした夏の頃は、毎朝美しい朝焼けと日の出を全身で感じることができた。
季節が進み日照時間の短縮とともに秋分の頃には少しずつ暑さも和らいできたが、それでも日によっては40度近くまで上がる。
テキサスの夏はしぶとかった。
そこからさらに日の出時刻は遅くなり、散歩中に日の出をみることはできなくなった。
けれどそれはまた面白い発見に繋がる。
夜行性のアルマジロを見ることができたのだ。
巣穴に戻る前のひととき。
モソモソ動いていたかと思いきや、突如猛スピードで走り出す。
慌ててスマホのカメラを向けるが、間に合わない。
季節はさらに進み、11月上旬夏時間が終了。
1時間時計を戻す形となりその日から一気に朝6時でも深夜と変わらない暗さとなった。
それにしてもなぜこんな中途半端な時期に切り替えなのだろうか。
ただ、真暗闇の早朝の星空を楽しむことができるようになったのは嬉しいことでもあった。
明けの明星(日の出前の金星)、秋のオリオン座など新鮮な気持ちで楽しむ。
時には流れ星さえ見えた。
季節が進むごとに変化する日の出、日々変化する月の満ち欠け、月の出入について、時に夫に対し偉そうに講釈垂れながら歩く。
大抵夫は聞いていないのだが、それでも互いに何となしに満足しながら歩くのが楽しい。
アメリカに来て良かったことの一つが、夫と二人の何気ない時間を持てるようになったことかもしれない。
陰極まりて陽に転ずる
冬の寒さはこれからだが、日の長さはここから伸びていく。
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