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㉑出会えた幸せにひたる『本なら売るほど』
用事がとくになくてもぶらりと立ち寄りたい本屋さん。
何気なく手にとった作品がドストライクだったときの感動、喜びは何ものにもかえがたいものです。
先日もそんな素敵な出会いがありました!
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舞台は街の小さな古本屋「十月堂」
本をめぐる珠玉の6つの物語。
一言で「本が好き」といってもいろいろあるんだな~というのは、「物語の世界観を香りでデザインする」という仕事をはじめてから実感していることのひとつ。
ジャンル、作家、国内、海外などのほかにも、紙か電子書籍か、購入するか図書館利用がメインかetc
「もの」としての魅力もありますよね。
本がインテリアに使われているカフェが人気だったり、アンティークとしての価値とか。
そもそも、「本」をハブにすればどんな世界ともつながれちゃうんです!
食もファッションも音楽も哲学も、さらに時間も空間も超えてありとあらゆるものを網羅するもの。
その出会いの場である本屋さんの可能性半端なくない?と思うわけです。
だから、そこを舞台にした人間模様はとてもおもしろいのですね。
また、この作品を読んで「好きなこと」について感じたことがありました。
自分の好きなもの、大切にしている価値観を他者におしつけていないか。
また、他者が大切にしているものをないがしろにしていないか。
その昔、読み終えた参考書をびりびり破いて捨てていた友人に軽いショックを受けたことがありました。
「本を破る」という行為は、私にとって禁忌をおかすように感じたけれど、
その友人にしてみれば、かさばるものを処分しやすくしたというシンプルな理由だったのでしょう。
「良い・悪い」ではなく、「自分はそうしない」というただそれだけ。
他者へのジャッジを手放すことは自分自身を自由にすること。
そして、私もだれかにとっての「本を破る」にあたいするようなことを無意識にやっているかもしれないということに気づかされました。
「ここは、本と人とがもう一度出会うための場所」
「きっとあなたも、本が好きな気持ちを思い出す」
まさに帯に書かれた言葉の通り。
本の魅力に、もう何度目か分からないけれどまた虜になりました。
画のタッチもすごく好みなのがさらにうれしい。
次巻で十月堂にぶらりと立ち寄るのが楽しみです!
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