キュレーターってなあに?
こんにちは。
来年リスボンで開催されるNFTフェスティバルNFCの日本アンバサダーを
務めます楠です。
今日はNFTじゃなくて現代美術の話。
【キュレーターは美術展総監督のことだった】
キュレーターということば、あなたも耳にしたことがあると思いますが
初めて聞いたのはいつでしょうか?
私は20年以上前。
当時、現代美術の展覧会の総監督のことを
キュレーターと言っていたんですね。
英語圏では、美術館・博物館で館長または学芸員を
キュレーターと呼ぶようです。
(フランス語ではConservateur de muséeです)
日本語では「学芸員」という言い方があるので
美術館というハコをまたいで
現代美術のフリーで展覧会やアートプロジェクトを企画する総監督が
キュレーターと呼ばれていました。(20年前)
美術館に所属していないフリーの学芸員といった感じです。
【今では情報をまとめる人もキュレーターと言う】
今は、情報を切り取ってまとめるサイトを
キュレーターサイトって言ったりしますね。
現代美術の展示も、たくさんの情報の中からテーマを決め
たくさんのアーティストの中から作品を選ぶので
そこから派生したのもうなずけます。
私がキュレーターを目指していた頃って
まだ世界でもヴェネツィアのビエンナーレ
カッセルのドクメンタ、ミュンスターの彫刻プロジェクト
とあと少しくらいしか、現代美術の世界的な祭典がなくて
そういった世界的現代美術の祭典を取り仕切る
有名キュレーターに憧れたものです。
有名キュレーターの展覧会だから観にいきたい!と思うし
そういった展覧会から有名になるアーティストもたくさんいます。
【キュレーターが現代美術をまとめる】
現代美術とは、現代を生きる私たちの同時代の作品です。
アーティストが存命の場合も多い。
戦後のアートを現代美術と言ってもいいのですが
コンテクストによってはちょっと違うことも。
今、同時進行で展開している作品の場合
美術館に収蔵されるものは少ないですよね。
歴史的評価がつかないと、購入できないことが多いですものね。
となると、現代美術って、今評価中の作品とも言えます。
この評価、コレクターの人気投票でも、評価額の高い順でもありません。
アートマーケットに連動しているようで、していないのも面白い。
素晴らしい作品ありきですが
優れたキュレーターや批評家の評価があってこそ
マーケットでの作品の価値が上がっていると私には見えます。
ちなみに現代美術の展示を専門にしている美術館で
収蔵作品を持たないというタイプの美術館も多いんです。
最近では大規模なアートフェスティバル
アートプロジェクトが多く、いくつもの会場をまたぐので
そういった展示の総指揮、総合プロデューサーに
美術館の学芸員ではなく、キュレーターが必要なのですね。
【長谷川祐子キュレーターのおことば】
日本が誇る有名キュレーターを1人挙げて、と言われたら
私は長谷川祐子さんの名前を出します。
現在、金沢21世紀美術館の館長をやっておられます。
好きな展覧会を見に行けば、キュレーターは必ず彼女でした。
彼女の批評文は素晴らしく、当時の超男社会のアート業界で
あれほど快進撃をされたのは、実力ゆえだったと思います。
機会があって、短期間アシスタントをさせていただいたときに
本当に何から何まで勉強になることだらけでした。
結局、生かせなかったんですけどね。。。
あるインタビューで
現代美術が世の中に対してできることは?という質問に、彼女は
と答えています。
彼女の仕事は、私たちの鏡を磨き、残すことなんですって。
【時代の鏡に写っているものを探せ!】
これを読んで、ああそうだ、と腑に落ちました。
世の中にはごまんと作品が生まれています。
それぞれにストーリーがある、素晴らしいものばかりです。
でも「キュレーター」ですから、時代を切り取るのが仕事。
キュレーターは好き嫌いで選びません。
この時代の鏡に写っているもの、後世に残すべきものを選びます。
現代美術の専門的な勉強をしていなかったり
現代美術の作品をあまり観ていなかったりすると
ついつい「いい作品」の価値基準が
「好きなもの」「有名なもの」になりがち。
個人コレクターはこれで全然いいのですが、キュレーターはまずい。
キュレーターや学芸員、ギャラリスト、美術批評家などは
やっぱり専門家ですから。
【NFTの世界のキュレーターという仕事】
NFTの世界で、キュレーターという仕事が生まれています。
日本にはまだあまりいないかもしれないし
そもそも「アーティスト」と「コレクター」の間に仲介はいらん!
という声もわかります。(NFTのそこが画期的というのも私も納得)
でも、現代美術の流れにNFTアートを「時代の鏡」として捉えるなら
そのNFTアートの「時代性」を見抜き
「後世に伝えるべきもの」を選ぶ人がいてもいい。
実際、フランス人のNFTキュレーターは何人もいます。
キュレーターはそれぞれの審美眼でNFT作品をまとめています。
NFT展覧会を開催しています。
その展覧会が評価され、そこに展示されている作品が評価される。
その積み重ねが時代の文化になっていくと思うんですね。
私個人は、現代美術x NFTの分野に興味があるのですが
別の分野のNFTキュレーターがいてもいいと思います。
せっかくスマートコントラクトでほぼ永遠にデータを刻むことができるなら
NFTキュレーターがNFTを文化として歴史に刻んでいくのもいいのでは?
【リスボンのNFTフェスティバルで日本のNFTを紹介します!】
毎回お伝えしていますが、来年リスボンで行われる
NFCイベントで日本アンバサダーとなりました。
この仕事、キュレーターと捉えています。
応募してくださった方全員を展示することはできませんので
選抜します。
あみだくじでも、私が好きな作品でもなく
キュレーションしていくつもりです。
まだ応募は始まっていませんし、審査基準も発表していません。
ですが、応募の前に審査基準をお知らせしようと思っています。
NFT歴が長い人、NFTのフロアプライスが高い人、NFT総取引量が高い人
が選ばれるわけではないことだけお伝えしますね。
そして、私が好きな現代美術っぽい作品だけが選ばれるわけでもないです。
ヨーロッパの人に知ってもらい、購入してもらうのが目標なので
彼らが好きそうな、でも日本っぽい作品を選びたいなーって思っています。
応募までぜひご準備くださいね!
そして、興味がある方は、私のTwitterやnoteをチェックしてください。
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