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花と生け花、自然と文化

一輪挿しを二つ買った。
家には全部で三つもある。

今日嫁さんとお昼を食べに出かけると、近所で陶器市をやっていた。ちょうどお皿を一つダメにしてしまった所なので、行ってみることにした。

陶器市では、数えきれないほどの器が所狭しと並んでいる上、本当にこんな値段でいいのかと思うほど破格の値段で売られており、年甲斐もなくはしゃいでしまった。特に、私が目に止まったのは一輪挿しコーナーである。

陶器の一輪挿しは、都会に買いに行っても、需要が無いのか選べるほど売ってないのに対し、陶器市では何十個も並んでいた。驚愕と歓喜を同時に感じた私は、とち狂ったように二つも買ってしまった。(一個300円也。安すぎるやん、、)

買ったのは黒と、青のものである。青のものを見た時に「大好きな色やけど、鮮やかすぎて花が目立たんかもな、、」と悩んでいたのだが、生産者の方が「こんくらい鮮やかでもちゃんと花が生きるから大丈夫。」と言ってくれたので、買うことを決めた。

生産者の方は続けて、「ちなみにおすすめせんのは白。白は難しいねん、花を選ぶからな、一番売れへんのも白やわ」と言っていた。へー!

二つの一輪挿しと、お目当てのお皿を買い、陶器市を後にした。


さて、一輪挿しだけ買って花を買わないのは、殺生である。

欲しいものは決まっていた。千両である。
千両は冬に実のなる木と知っていたので季節に合っているなと思ったし、黒い一輪挿しに挿すと渋くてかっこいいはず。しかも、以前花屋さんを覗いた時には千両を置いていたこともチェック済みである。
急足で近所の花屋さんへ向かった。

花屋さん行ってみると、千両が無いのだ。

見間違いかと思ったが、どこにも無い。
私は諦めきれず、もう一軒別の花屋さんにも行ってみた。やはり千両が無い。花屋さんはすっかり春仕様になっており、色鮮やかな花ばかりであった。

以前はあったのに、なぜこんなに無いのか。

絶対に何かあると思い調べてみると、どうやら千両は、赤い身が沢山付くので縁起物とされており、お正月に準備するために用意するものらしい。なるほど、以前見たのは年を越す前だったからか。諦めて水仙を一輪買った。


私は、花については知っている方だと思っている。大学の頃、研究室へ行く前に一人で植物園に通っていたこともあり、そのへんの街路樹や庭に植っている花は、割と名前を言える。

千両が冬の風物詩ということは知っていた。
でも、千両がお正月に準備するものであり、年明けには姿を消すことを知らなかった。

花は自然の営みで、生け花は人の営みであり文化である。花と生け花。似ていても実は全く違うものだと実感した。


生け花の勉強、してみようかな。

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