
早く登ることが目的の登山
元旦、六甲山へ走りに行った。
六甲山は、兵庫県にある、標高931mの岩山である。ロックガーデンという岩をよじ登るスポットがあり、エンターテイメントとしても楽しめる山である。
山走りという奇行に至った背景には、私の会社の役員さんがいる。
去年の年末、私の所属する部をまとめてくださっている役員さんに、年末の挨拶へ行った。役員さんは笑顔が爽やかで、わざわざ席を立って話しに来てくれた。誰よりも会社のことを考えておられる、私の憧れである。
役員さんは、休みの日に山へ走りに行っているらしく、適度な筋肉をつけた、アスリートのような体をしている。私も役員さんのようにいつまでも爽やかで健康でいたいと思い、単純な真似事として山へ走りに行ったのだ。
過去に六甲山へは、登ることを目的として行ったことがあったが、今回は役員さんの健康的な体をイメージして、走って早く登ることが目的だった。
走りながら、以前普通に登った時と異なる点が二つあった。
一つは、当たり前だが、めちゃくちゃしんどいことである。早く登るために岩を飛び越えたりするので、お尻、太もも、ふくらはぎがすぐ痛くなった。「誰にも見られてないんやし、引き返そかな、、」と何度も思ったが、役員さんはきっとこれくらい平気で登っていくんやろな...!と思い直し、踏ん張って登った。憧れとは偉大な存在である。
もう一つは、これも当たり前だが、抜かした人の数が全然違った。抜かす度に「あの人身軽やねえ」「慣れたはる人なんやろな」という声が聞こえてきた。内心しんどかったし、山走りなんて初めてだったが、ええかっこしたさに、笑顔で、スラスラ登っていくふりをした。(スラスラ登っていく割には息が切れすぎていたので、気づかれていたかもしれないが、、)実際、ああいうことを言われると嬉しくて少し元気が出た。
頂上に着いた。滞在時間は20秒。記念の写真を撮ってからすぐに下山した。改めてになるが、登ることが目的ではないからである。
今回の山走りの振り返りだが、今年は会社でも、少し無理をして頑張りたいなと思った。おそらく山登りと同じで、普通に登っていると、周りと差は付かないし、すごいなあとも言われないので、楽しくない。どうせ働くなら、すごいなあと言われて「えへへ」と思いながら働きたいものである。
もちろん、今回私が早く登るために、道を譲ってくれた人がたくさんいる。その感謝も忘れないようにしたい。
頑張って、いつか憧れの役員さんと、仕事の話ができるようになりたいなあ。