見出し画像

大人の友達

大人になってから友達を作るのは難しい。

学生の時は友達なんて簡単にできた。
席が隣になると仲良くなるし、同じクラスになると仲良くなるし、隣のクラスだというだけで仲良くもなれた気がする。

大学の頃から、友達ができなくなった。
できたとしてもすぐに離れてしまい、今でも仲が良い人なんて、たったの一人である。私だけなのであろうか。この大学前後の違いについては、本当に、人生を賭けて追いかけていきたい謎の一つである。

会社の人は、そもそも「友達」にならない。
以前、会社の仲の良い同期の結婚式に呼ばれたが「新郎高校友人」「新郎幼馴染」が並ぶ中、私達は「新郎会社同僚」だった。「俺たち、、距離あるな」と新郎会社同僚と話した覚えがある。

会社の人は、仲良くなっても「先輩」「後輩」「同期」に分類される。どんなに仲が良くても、友達ではなく「同期」なのだ。友達では無いのである。

つまり、大人になって友達を作ろうと思うと会社以外の場所で出会う必要があるのだ。これは本当に難しい。

私には一人だけ、大人になってからできた友達がいる。ドライフラワーのおばちゃんである。

よく大きな駅の前や公園で、フリーマーケット展をやっていることがある。個人がそれぞれ自分の作ったものを出店しているのだ。出店者は自分が生産者なので、はっきり言ってそのへんの店員とは熱量が全く違う。私はフリーマーケット展が好きで、見かけるとフラフラ入ってしまう。

ドライフラワーのおばちゃんは、そこでドライフラワーを売っていた。「この花がとてもいい味を出してくれていて、この花はちょっと取れやすいけどかわいくて、、」と熱心に話してくださったのを覚えている。

私はその辺に生えてる花なら名前を言えるくらい花が大好きなので、花の話ですぐ仲良くなった。友達になるきっかけは、やはり共通の趣味であると実感した。

それから、ドライフラワーおばちゃんが出店する日はちょこちょこ会いに行った。話は尽きずに仲良くなり、今度はお茶をしたり、しまいにはお家へお邪魔してドライフラワーのリースの作成体験をさせていただいたりもした。

私が結婚すると伝えた時も親のように喜んでくれて、ドライフラワーセットを送ってくれた。おばちゃんの好きな紫陽花や、私の好きなミモザが入ったものだった。ウェルカムボードに飾って自慢したのを覚えている。良い人と出会えたなと心から思う。

大人になってから友達を作るのは難しい。
が、チャンスは時々やってくるのだと思う。

ドライフラワーのおばちゃんのときは、私がたまたま花好きだったのが距離を縮めるきっかけになったが、好きでなければ友達にはなれなかったと思う。

大人の友達を増やすためには、さまざまなことに興味を持っていないといけないのだと、ドライフラワーのおばちゃんから学んだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?