情報に流されやすい子のスケジュール改善方法
スケジュールの提供は基本中の基本
ASDのお子さんを支援する上で基本となる支援ツールはスケジュール表です
スケジュール表には、予定の説明ももちろんですが、最大の役割は活動の変更を視覚的に説明することです。
言葉だけでのやりとりで、「今から〇〇に行くね」といった伝え方で伝わる子はいますが、障害の特性の程度により、例えば一見わかっているように見えて、全然分かっていない子もいます
そういった言葉でのやりとりではなく、目で見て理解することが得意なASDのお子さんには、絵やイラストなどを使って説明することが効果的です
そして、そのスケジュール表を確認し、次に自分が何をすれば良いのかが分かることで、安心感は段違いに変わることでしょう
このスケジュール表が軸となり、様々な支援が発展されます。つまりはスケジュール表は基本中の基本であり、支援の根幹ともいえます
その子によって変わるスケジュール表
一概にスケジュール表といっても、スケジュール表のタイプは様々です
基本のスケジュールタイプは、
ワンデイ
上から下へ
終了した活動は下に設置されたフィニッシュボックスへ入れて次の活動へ
基本はと言ってしまいましたが、私が普段支援をしていて、新規利用児童を受け入れるときはこのスケジュール表をベースに作成しています。
そして、実際に支援を行い、本人の行動特性と適していなければ、少しずつ改善し、また再度支援を行い確認をしていきます。この繰り返しです。
フィニッシュボックスの重要性
スケジュールも大事ではありますが、今回の話でキーポイントはフィニッシュボックスです。
フィニッシュボックスというのは、そのスケジュールが終わった際にカードを入れるボックスのことです。ボックスといっても、そんな高いものではなく、100円ショップに置いてあるような箱です。それを穴開けたり、フックを引っ掛けたりして作成しています
スケジュールで提示している活動が終了したら、いつまでも提示したままではいけません。
目で見て理解することが得意な本人さん達なのに、ずっと終了した活動のスケジュールカードが貼り付けてあるのは混乱の元でしょう
終わったらすぐに目の前からなくしましょう、そのためには箱が必要です。だからフィニッシュボックスがあるのです。
基本形のスケジュールでは、フィニッシュボックスは1個です。スケジュール表の下に設置します。
手続きの手順としては、一番上のカードを手に取り活動開始です。
スケジュール表からカードを一枚とります。
取ったカードを手に持ち目的の場所まで移動します。
目的の活動が終わり、再度カードを手に持ちスケジュール表に戻ります
フィニッシュボックスにカードを入れ、スケジュール表を確認し一番上のカードを手に取ります。
これが基本的なスケジュールの流れです
情報に流されやすい子の場合にこのように改善してみた
カードを手に持って目的の場所まで移動しましたが、活動が終わりスケジュール表へ戻るときに、その子にとって気になる音が聞こえてきました。
スケジュール表が置いてある場所に向かわず別の方向へ走って向かい、職員へ注意されスケジュール表に戻りました。あれ?何かが足りません。そうです、スケジュールカードです
スケジュールカードを手に持つというのは、ワーキングメモリーが乏しい子にとって、手に持ったカードが唯一の情報源です。それにより目的のエリアへ向かえるのです。お子さんによっては、カードを手に持って移動することは絶対的に必要でしょう。彼もその内の一人だったのです
かなりの頻度でスケジュールカードを目的の場所へ忘れてきてしまいます。
でも、目的の場所へ行くためにはカードを手に持つことは不可欠です
どうすればよいでしょうか
方法の一つとしては、各エリアにフィニッシュボックスを設けることです。
それにより、カードを持ち忘れ、支援者へ介入されるという手順がなくなります。支援者にとってもそして本人にとってもストレスがなくなります。
スケジュール表は軸となる場所であるため、活動が終わったらスケジュール表に行き確認するという流れが習慣化されやすいです。
なので、活動したエリア→スケジュール表に移動する際に、スケジュールカードを所持しているというのは不要でした
しかし、それでも目的からあまりにも逸れる行動が多い場合には、また考えないといけません。これの繰り返しです
今回は比較的、簡単なケースです。フィニッシュボックスには、ただの箱という考えだけではなく、中身が見えるor見えない、カードを入れる口を広くするorあえて狭くする、といったように工夫があってこそ支援であります。こういった細かいことに気付き実行できる人は少ないですし、やるべきだと私は断言します
スケジュール表はスケジュールの土台、カード、フィニッシュボックス、手続きの流れ、介入の仕方、全てが合わさって、やっと一つのスケジュールとなるでしょう。一つの支援ツールでも考えることはたくさんですね。そして、実践して改善を行い、再度実践する。これの繰り返しですね。