ASDの子の偏食について3つの要因から考える
こんにちは、あろえです
今回の記事は昼食支援についてです。
偏食はどう支援していけばいいか悩む
皆さんが関わっているASDのお子さんで偏食のある方はいますでしょうか?
その際の声掛けとして、「残さず食べましょう」
なんていう言葉、そして、声掛けだけの支援なんて今すぐやめるべきだと考えます
しかし、そんなことを言ったって、
栄養面が気になるから、食事は成長につながるから、ご飯を食べさせることが親としての義務だから、この声かけをすればたべてくれるから
など、様々な思いを持って支援されていることは事実です
では、どういう支援をしていけばいいのか?
私が普段行っている支援から、障害特性を軸に説明をしていきたいと思います
まず、偏食には3つの要因があります
①味覚によるもの
②概念形成の乏しさによるもの
③記憶的な影響によるもの
です
①味覚によるもの
これは、単純に味の問題です。定型発達のお子さんの場合は、この理由がほとんどでしょう。
味覚には色々ありますよね。辛い、甘い、すっぱいなど。
ちなみに私はすっぱいのが苦手ですが。
では、ASDのお子さんはどうでしょう。
味覚が鋭い、もしくは極端に鈍い。方も多くいます。
つまりは、ASDの方は、脳の機能や障害特性が影響し、我々が思っている以上に正確な味覚を持っていない可能性が多いということなのです。
なので、食べ物を残す=味覚によるものという判断をすると、「我慢して食べなさい」「残さず食べなさい」という声掛けの支援につながりやすく、危険です。
普段の食事の状況を見て、本当に味覚が正確なのか、アセスメントをとっていかなければいけません。
アセスメントの取り方も様々ですが、味覚による偏食の判断をする場合、 常に一定の食事環境のもと、1種類ずつ食事の内容を変えて、摂取したもの、残食したものをデータで取り、それを味別に分けてグラフ化してみるといったことも必要になるかと思います。
つまりは、味覚による偏食と判断するには、下の概念形成や記憶的な影響を考慮した食事環境があってこそ、より正確な判断ができるのだと思います。
②概念形成の乏しさによるもの
これは、例えば、普段、自宅で揚げた唐揚げを食べているけど、ローソンのカラアゲくんやスーパーの唐揚げだと食べられないというお子さんがいたとします。
色や形の概念形成が乏しいため、普段家で食べている唐揚げが本当の唐揚げであって、他の場所で売っている唐揚げは、色や形が違うと、本人の中でそれはもう「唐揚げではない、別の食べ物」になってしまってい摂取が困難になるということなのです。
唐揚げは一つの例ですが、他にもカレーライスに入っている 人参は食べるけど、サラダに入っている人参が食べられないなど、こういう方もいらっしゃいます。
支援者にとって、本人たちのこういった考えはなかなか理解するのは難しく、わずかな変化でも、それは全く別次元の食べ物となっている可能性があります。
③は記憶的な影響によるもの
これは、②の概念形成の乏しさについて、重なる部分もありますが、
以前、何かをきっかけに食べられなかった経験が蘇り、摂取を拒否するというものです。
他には、摂取できなかった環境を記憶し、再度同じ環境下で食事をした場合に、どんなに本人が摂取可能なおかずであったとしても、拒否をしていまうということです。
これも、なかなか要因としては分かりにくいですが、例えば、食べる場所を変えることで、結果的に食べられるようになったのであれば、その可能性はあると思います。
あとは、食器を変える、テーブルクロスを変える、食べる向きを変える、などです。
一概に、環境だけを変えることも必要ですが、②の概念形成の乏しさの部分と合わせて考えていかなければならないので、食事支援というのは判断が難しく、正確な判断には、時間とデータが必要となるのです。