小説・成熟までの呟き 44歳・2

題名:「44歳・2」
 2034年秋、美穂が暮らす大尾島で映画の撮影が行われた、実りを主題にしていて、農業が盛んでロケーションの面で優れているため、撮影場所になった。柑橘類の果樹や野菜を育てる畑や、実が多くあるオリーブの木々の中でも撮影された。美穂達の農園でも撮影されたが、その時に主演の1人の女性が現れた。その時、息子の健はドキドキしていた。その人物は、背が高くて白いワンピースを着ていて風になびくと一層優雅に見えたのだ。健にとっては、刺激が強すぎた。また風が吹くと、胸あたりまである髪がふわっと広がった。撮影が終わった直後に健は、「あ、あの・・、美しいです。」とオドオドしながら言った。それに対して、「今日はありがとう。」と言った。健は、「サインください。」と白い紙を出した。すると、主演の女性は応じてサインを書いた。健は緊張しながら、「ありがとうございました。」と言い、女性は改めて「きょうはありがとう。」と言った。その日の夜、母親の美穂は健を見て、「顔が赤くなっちゃって・・。」と楽しそうに言った。尚、その主演の女性の名前は、百合である。

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