小説・成熟までの呟き 25歳・2

題名:「25歳・2」
 2016年冬に、美穂はスキーを行った。山浜市で中学生だった時にして以来である。首都圏から新幹線の列車に乗り、アルプスの方へ向かった。規模の大きさに驚いた。OLの同僚と何人かで滑った。最初の頃は感覚を掴むことが難しかったが、次第に慣れていった。山並みの風景は綺麗だった。この時美穂は橙色のスキーウェアを着ていた。一方、職場では仕事は積極的に行ってはいたが、マンネリ化により飽きてきたという気持ちはあった。一般職で入り、3年前から決まった仕事しかできなかったためかもしれない。「人としてもっと成長したい」という気持ちが芽生えていた。上司や営業職の同僚にこのことを相談しづらく、美穂は大学の時の同級生に相談してみた。すると「人生における次の段階に進みたいのであれば、退職もありでは」と言われた。その同級生は新卒で事務職として就職したが、2年後に退職して、フローリストを目指して花屋で勤務していた。その同僚は、植物に関わることで生き生きとしていた。その姿が羨ましくなった。

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