小説・成熟までの呟き 20歳・1

題名:「20歳・1」
 2010年5月10日、美穂は20歳の誕生日を迎えた。大学2年になっていた。夏の8月に、農業経済学科恒例のファームステイが行われた。夏期休暇に、農家に1週間滞在するという内容である。北へ向かう列車に乗り、首都圏から約2時間で到着した。最寄駅からは、送迎の車に乗った。ファームステイの場所は中山間地域で20名ほどが集まり、それぞれの場所に分かれた。美穂が滞在した農家は茄子を屋内で作っていた。朝には収穫を手伝った。鋏を使うのだが、何かを作り出す楽しさを味わう機会となった。日中は周辺の畑を耕し、少しでもより良い農産物が作れるために貢献する行動をした。この経験が、後の人生に影響していくことになる。肩にかかる髪を後ろに結び、オーバーオールで作業を行った。さて、美穂が滞在した村は山に囲まれていて田圃が広がる場所である。各農家では野菜の生産が盛んである。首都圏に向けての出荷が多く行われているが、鉄道が通っていないなどの交通の便が悪い面があり、人口減少が課題となっている。対策としては、村外の最寄駅からのコミュニティバスの拡充や、若年者が農業生産をするうえでの土地を提供しやすくするなどを行っている。それ以上に村自体に魅力があるのかというと、透明による綺麗さが特徴の湖があり、観光地としては有名である。美穂が訪問した当時はあまり発展していなかったが、10年後にはリモートワークが盛んに行われていて、いろいろな人々の交流が盛んに行われるような場所になっている。

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