
人間社会に入るために必要な禊(みそぎ)
パルワールド
というゲームが、試遊できる状態で先行的に発売された。たいへんな人気を博しているようで、発売から3日で200万本が売れたのだとか。
私もこのゲームを楽しんでいる一人です。
このゲームは、様々なゲームの要素をまとめた集大成となっております。
「ゼルダの伝説」のような、移動と探検、戦闘。
「メタルギアソリッド」のような食料と武器は現地調達、スニークな行動。
「ポケットモンスター」のような、野生の生物の捕獲と使役。
そしてこのパルワールドというゲームには、大雑把に挙げたこれらの作品の要素をまとめたことで生まれた「新たな要素」がある。社会的な集団の運用だ。
捕獲された野生生物たちは、その適正ごとに仕事をこなす。種を畑に埋められるものは種まきを、手があるものは収穫をこなす。そして食事をして、休息をとって、再び仕事へ向かう。外敵の襲来に対しては暴力によってこれを排除する。これらは私たちの社会の縮図といってもいいと思う。
私たちも、働き、食べて、休む。自分の家に怪しい者が入ってきて物を壊すなら、力によってこれを止め、排除する。同じですよね。
楽しいです。
私はこのパルワールドを、ゲームとしてとても面白く、楽しく遊ばせてもらっています。この記事を書いている時点で30時間ほど遊びました。
そこで、ふと思うのです。
このゲームにおける野生生物の捕獲方法が、「人間の社会に入るために必要な禊」を表しているのだろうかと思うのです。
ゲームの野生生物の捕獲方法とは、危害を加え弱らせて、捕獲の仕掛けを投げつけて、もがかせること「だけ」なのです。もっと他の手段があって欲しいところですが、ポケットモンスターという作品の要素をそのまま使用しているため、こうなってしまっている。
酷いことをしているかのように思うかもしれませんが、私たちが現実にしていることに比べれば「随分と優しい」と思います。現実では、野生生物が人間社会の中に入ってきたときの対処方法は、食料として死体になっているか、被害が出る前に殺すことです。牛や豚、鶏は殺すことを前提に飼われていますよね?ゴキブリって殺しますよね?熊は殺す事もありますよね?
それに比べれば、このパルワールドは”殺してはいない”のです。「随分と優しい」です。
しかし、あるいはこのゲームでも殺しているのかもしれません。
捕獲の仕掛けを投げつけられた野生生物は、仕掛けの中でもがきます。
ゲームでは、このとき野生生物が、具体的にどうなっているのかを表現していません。なので、もしかしたら、捕獲の仕掛けの中で1度死んでいるのかも。そして人間に使役される。
となると、やはり人間社会に入るために必要な禊とは、死ぬこと、なのだろうか。