『テンシンシエン!』第39話
◆「メンセツノシュクダイ?」
NEKSTとのカジュアル面談の翌日、パーソナプロセス&テクノロジーという会社の面接があった。面接の流れはNEKSTの時と、びっくりするぐらい同じで、なにかテンプレかマニュアルの類が各業界に配布されているのか?と疑ってしまうほどだった。求人内容は、メディカル領域のDXサービスソリューションコンサルということで・・・最初にメールをもらった時は、その業務内容がよくわからなかったが、結局のところ総合病院向けの管理システムで、それまで大手百貨店などで使用されていた顧客管理システム、つまりCRMを病院向けに改修し、それらをオンサイトで導入する業務のことだった。
使用するベースシステムは、最近流行りのノーコードプラットフォーム。つまりパーソナの言うDXコンサルとは・・・
・将来的に顧客が自立してシステム開発できるよう・・・
・ノーコードプラットフォームの使い方を指導しながら・・・
・現段階で希望している管理システムを開発する・・・
・・・役割をそう呼ぶようで、コンサルなのかインストラクターなのか?はたまたSESと何が違うのか?・・・少々疑問であった。
今回も結局のところ人物評価のようで、面接は1時間ほど。業務内容に関しては深堀されることは無く、ほぼ雑談のような面接だった。まぁ失礼な態度もしなかったし、先方の言うことに対して否定的な発言もしなかったし・・・まぁ自分的には上手くできたと思う。
”テトタト テトテト テトタト、テトタト テトテト テトタト・・・”
スマホの呼び出し音で目が覚めた。知らない間に眠っていたようだ。画面を見るが見知らぬ番号・・・恐る恐る”応答”をタップする。
「沢村様のお電話ですか?わたくし、エグゼクティブHRファームDavisの井村明子と申します。えっとですね、すでに田中よりフューチャーさんの件でコンタクトさせていただいていると思いますが・・・」
「あぁ!はいはい、大丈夫です。で、なにかありましたか?」
「えっとですね。フューチャーさんの二次面接対策の件で、お電話を差し上げた次第で・・・」
「はぁ・・・そうですか・・ありがとうございます。」
「えっとですね。フューチャーさんの二次面接では、必ず質問されることがあって、一つ目は、”何か新しいことにチャレンジしてますか?”という質問です。」
「はぁ・・・
井村さんが言うには、具体的に何か新しいことにチャレンジしているという実績や事実が必要ということで、なければ何でもいいから考えて欲しいとのことだった。できれば今日からそれを実践して、真実にして欲しいと・・・二つ目は”社会課題を解決できるような新事業”を考えておいて欲しいとのことだった。
「新事業はなんとかなりそうですが・・・一つ目の新しいことへのチャレンジかぁ・・・」
「沢村さん、履歴書には、ルアーフィッシングが趣味と書いてありますが、この関係で何かないですか?例えば何かの資格をとろうと勉強しているとか。」
「資格ねぇ・・・ルアーフィッシングで資格かぁ・・・まぁボートの免許かなぁ・・・」
「あっそれ良いですね!」
「えっそんなんでいいの?」
「勉強しなければならないし、実技とかあるって以前聞いたことがありますよ。実際、そのネタでお話しされた人がいましたから。」
「そうなんですか・・・まぁそれなら1級の小型船舶免許を取得しようと色々調べたことがありますので、知識は問題ないかと・・・」
「ではそれでいきましょう!」
なんだかノリが軽いな・・・大丈夫なのかな?
「えっとですね。それで・・・新事業のほうですけど・・・一点、注意点があって・・・」
「はい・・・」
「えっとですね・・・二次面接を合格される宿題が出ます。その宿題が結構厄介で、現在、私がサポートしている方がとても苦労されています。その宿題は、二次面接でご自身が提案した”社会課題解決型の新事業”の事業性を評価する内容で、その収益性や実現性をご自身で分析してレポートを作成していただくという内容です。ですのである程度この宿題を意識して事業提案いただきたいのです。」
「なるほど・・・で評価軸はどんなものを使用するのでしょうか?」
「えっとですね。それが特に決まっていなくて、どんな評価軸を用いるかで一番苦労されるようです。」
「なるほど・・・面白い。わかりました。考えておきます。でそのレポート作成に与えられる期間は?」
「2週間です。ほとんどの方は、間に合わなくて納期を少し伸ばしてもらうようです。」
「そうですか・・・2週間あれば作れそうですけどね・・・まぁ了解しましたよ、なんとかします。」
「では、くれぐれもよろしくお願いいたします。後ほどフューチャーさんの面接に際しての、簡単な資料をお送りさせていただきます。」
「はい、ありがとうございます。」
「なにか不明な点などあれば、この電話番号へ連絡ください。それでは失礼いたします。」
「はい、失礼しまーす。」
うん、何やら面白そうな展開。