映画『Seaspiracy: 偽りのサステイナブル漁業』魚も食べるべからず
2回目の土用の丑の日、二の丑、みなさまいかがお過ごしでしょうか。
ウナギの漁獲量減少に伴い、価格はうなぎ上りなわけですが、美味しさに腹は変えられない、といったところでしょう。
でも、そんな人間の欲のせいで、海の生き物たちの環境は崩壊の一途であることをご存知でしょうか。
今日は、そんなギョッとする事実を暴いたドキュメンタリーを紹介。
『Seaspiracy: 偽りのサステイナブル漁業』
結論から言うと、魚を食べるのを止め、魚を捕るのを止める、
これ以外に海の生態系を守る術はないそうです。
ウナギのみならず、イカ、ウニ、毎年何かしらの魚介類が不漁だとニュースになるけれど、そもそも、絶対数が尋常じゃないスピードで減少しているそう。
1830年頃、1日あたりに漁獲できた量は1~2トン。
それが、今日1年かけて漁獲できる量が1~2トン。
それほどまでに魚が減っているということ。
にもかかわらず、毎分500万匹も捕獲されている現状。
このままの漁獲を続けたら、2048年までに海は空になる予想。
つまり26年後には、海から魚が消えるということ。
海は広いよどこまでも、のイメージが強くて俄かには信じがたいけれど、
広くて目が行き届かない海であるがゆえに、やりたい放題がまかり通る。
例えば、
ブラジルのアマゾンの森林は、毎年2500万エーカー失われている。
約10万㎢、ほとんど韓国一国分の森。
これは、イコール、毎分サッカーの競技場27個が失われるのに相当する。
これでもパンチのある人間の悪行だけど、海はレベルが違う。
底引き網漁(bottom trawiling)は、毎年39億エーカーの海底を一掃する。
約158万㎢、ブラジルとオーストラリアを足したくらいの面積。
サッカーの競技場に換算すると、毎分4316個の海から魚がいなくなるということ。
海の生態系を守るためには、NO 漁業 NO 魚食。
底引き網漁は、文字通り根こそぎ搔き取るので、その網には本来捕らなくていい魚、つまり不要な魚も入り込む。
中にはイルカやウミガメ、クジラも含まれる。
日本のイルカ漁や捕鯨が世界から散々叩かれているけれど、実際は世界中で行われる底引き網漁で漁獲されるイルカやクジラの数の方が圧倒的に多い。
(だからと言って、私が日本サイドの肩を持っているワケではない。)
また、乱獲で言うと、サメも深刻。
高値で取引されるフカヒレのために、乱獲が止まらない。
海の生態系のトップに君臨するサメが減ると、全体のバランスが崩れる。
食物連鎖の崩壊。
あの美味しいフカヒレにも、闇が潜んでいたなんて。
食べ物と闇で言えば、ツナ缶もダークだという話しを聞いたことがある人も多いかもしれない。
そう、マグロ漁船の労働者は、ほとんど奴隷と同義な過酷・劣悪な環境で働かされている。そして、死ねば遺体は海に投げ捨てられる。
つまり、労働搾取を無くすためにもNO 漁業 NO 魚食は有効。
でも、養殖があるじゃない!と思った人、ちょっと待った。
養殖場は、魚たちにとって劣悪な環境。寄生虫でボロボロになるなど。
サステナビリティ漁業なるものは、不可能らしい。
活動家の方々にインタビューする質問の中に、
魚を食べなくなったら、健康にどのような影響があるか?
というものがあった。
というのも、魚=栄養満点 なイメージだから。
健康にマイナスな影響があるのではないか?という危惧が生まれる。
でも、活動家や研究者のみなさんが口をそろえて言うのは、
体に有毒なメタンや水銀を取り入れずに済むから非常に良い
といったこと。
なるほど、NO 漁業 NO 魚食は、人間と海の生き物たち、双方にとって良いことであるようだ。
色々と学びを得たこのドキュメンタリーだけれど、一つ気になるところがあるので、正直にレビューしておく。
なんというか、演出感が強い。
これは本当に裏を取っているのだろうか?と疑問を感じることも多々。
そんな風に感じたあたりで登場したタイのエビ漁業の闇から脱出した人たちのシルエット。顔出しNGでのインタビューというけれど、本当だろうか?
証言内容は本当だとしても、出演者は本人ではない、という可能性は大いにある。だからどう、というわけではないのだけど。
ドキュメンタリーといっても、あくまでも「映像作品」であることは頭の片隅に置いておきたい。
伝えるためには、インパクトも必要だから。
昨日に引き続き、サステナビリティについて書いてみた。
天空も陸上も海も、人間のエゴのために悲惨な状況。
知る→行動を変える→世界が変わる
お寿司大好き、お魚大好きな私の人生から魚をゼロにするのは正直辛いけれど、少しずつ消費を減らすことから始めてみよう。
読者のみなさんも、私に続け。
ではまた、ごきげんよう。