沖縄でコーヒーを作る。と決心した日
2020年12月。実家への帰省をかねて、沖縄県名護市のコーヒー農園にお邪魔させていただくことに。
名護市は、私の生まれ故郷でもあります。海のイメージが強い沖縄ですが、名護市の位置する沖縄本島北部は、「山原(やんばる)」とよばれていて、熱帯の照葉樹林が広がる豊かな自然に恵まれた場所です。
沖縄に到着するまで、案内してもらう農園がどこにあるのか聞いていなかったのですが、農園へと続く道はどこか見慣れた風景でした。「ここが農園です。」と言われて、たどり着いた場所は、幼い頃に、祖父の手伝いでたびたび訪れていた、みかん山から数百メートル離れたところでした。
「えー!!、こんな場所にコーヒー農園があったんだ!!」とびっくりしたのが最初の印象です。
収穫から1杯のコーヒーができるまで。
訪れた農園の入り口には、ヘゴの木とウッドデッキのような空間が広がり、東南アジアのリゾート地のような雰囲気。コーヒーの木が何本か植えられていて、「ここで飲むコーヒー美味しいだろうな。」と思ったのと同時に、朝起きて、農園を散歩して、コーヒーをいれる風景が自然と浮かんできました。
実際に農園内を散策して、コーヒーチェリーを食べてみたり、コーヒーを収穫して、精製して、焙煎し、最後はドリップして1杯のコーヒーを作る、という一連の体験をさせてもらいました。
普段、大きな焙煎機にパソコンをつなげてグラフを見ながら焙煎する私にとって、カセットコンロの火加減をみながら、焙煎する手焙煎はすごく新鮮。ちょっといつもの焙煎より深くなったコーヒーがかわいくて、愛おしい気持ちになりました。
実際に口にしたコーヒーの味は、COEのコーヒーやバリスタが丁寧にいれたコーヒーとは比較できないけれど、すごく美味しかった。コーヒーの木が広がる風景を目の前に、自分で収穫して、精製して、焙煎したコーヒーを飲む時間は、今までにないくらい、贅沢な時間に感じました。
コーヒー体験をつくると決心。
コーヒーを仕事にしたくて、東京でバリスタを目指し、バリスタの次は焙煎士というように、ステップアップすることがモチベーションとなっていた自分自身。「コーヒーを通して、実現したいことってなんだろう?」「私の次のステップってなんだろう?」と、ちょうど自問自答していた時期でした。
一連の体験に興奮が抑えられず、「私のやりたいことはこれだ!」と実感。大好きな沖縄で、コーヒーが育つ過程を発信していきたい。たくさんの人に、コーヒーがどのように育ち、収穫され、精製されて、コーヒー豆が出来るのかを伝えたい、という思いが溢れてきました。
台風ギンザーとよばれるほど、台風が多い沖縄。台風でコーヒーがだめになってしまうことも多いと聞きます。コーヒー生産国と比較しても標高はかなり低く、雨は多いが乾季はないなど試練もたくさんありますが、希望もたくさんあります。
色んなリスクもあるし、これから本当にたくさんの課題が待ち受けていることも覚悟しています。
でも、これからの人生を考えたときに、やらないで後悔するよりは、挑戦して失敗して、またやり直せばいい。そのほうが、自分自身の選択に納得できる。コロナや災害など、いつ何が起こるかわからない状況だけど、少しでも自分の思いをかたちにしていきたい。
大好きなコーヒーで、色んな人の笑顔をつくりたい。そして、私を育ててくれた、大好きな沖縄にコーヒーを通して貢献したい。
その思いから、沖縄でコーヒーを作ることにしました。
近い将来、沖縄という場所が、コーヒーを通して色んな人が繋がる場所になるといいなという思いを込めて。
Coffee makes people smile.
Arisa Higa
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