本棚:『ジャイロスコープ』
伊坂幸太郎さんの短編集。7つの作品のうち、「一人では無理がある」はアンソロジーで既読でしたが、初読みだったら、巻末のインタビューにある通り、どんな会社?と思ったかもしれません。「if」と「彗星さんたち」が好きだなと思いました。そして、最後のお話は書き下ろしとのことで、読者サービスのような感じ。
「二月下旬から三月上旬」という話では、何が真実?と思いながら読みつつも、最後はそういうことか…と。そして「どの時代のどの日も、「戦前」で、「増税前」だ」という一文にドキリ。増税も嫌ではありますが、目的や用途が明確であれば納得できると思いますが、その一方で、もう「戦前」であっては欲しくないと強く願います。
伊坂幸太郎さんの作品は、10年ぐらい前の一時期、よく読んでいました。会社の後輩に勧められて、面白かったので、立て続けに。あの頃は、「この本好き!」というのに出会うと、その作家の作品を立て続けに読んでいました。最近はそういう読み方はあまりしなくなったなと考えてみると、以前は在宅中にしか本を読んでいなかったのが、今は通勤時や会社の昼休みにも読むように。持ち運びやすさ重視で文庫本を選びがちで、図書館では単行本に比べると文庫本が少ないからかなと思います。
そうえいば、『アヒルと鴨のコインロッカー』は、初めて読んだ時に、読後、かなしい気分になったということだけ覚えていて、どうしてかなしい気分になったんだろうと、数年後にそこが気になって再読して、やっぱり悲しい気分になりました。