本棚:『ヒア・カムズ・ザ・サン』
七行のあらすじから生まれる全く異なる物語。ある力を持った30歳の編集者の真也が主人公の物語はどんな展開を見せるのか。
小説は読むばかりですが、同じあらすじからでも、人それぞれ思い描くストーリーは違うのでしょうね。どんな物語にするのか、また解釈も色々あっていいのだと思います。好き勝手に解釈して国語のテストが散々だった学生時代。作者の意図を理解できないのはダメなのだと思っていました。でも、どう解釈するかは人それぞれだし、同じ文章であっても、読んだ時の年齢や状況などが違えば、感じることも違うということをある小説で教えられ、もっと自由に読書を楽しんだらいいのだと思えるようになりました。また、同じ作家の作品でも、書いた時代などでも変わるから、一作だけ読んで判断してしまうのも、もったいないことだということも。
ところで本書「ヒア・カムズ・ザ・サン」と「ヒア・カムズ・ザ・サン Parallel」の2つの物語が収録されています。「Parallel」の方も、同じ人物が登場してきますが、パラレルワールドでして面白いです。昔は「もし〇〇だったら…」と想像することがよくあったなぁと思い出しました。違う世界を生きているかもしれない別の私は、今ごろ、どんなところで何をしているのかしら?