本棚:『マドンナ』
「マドンナ」と聞いて、パッと思い浮かぶのは歌手?それとも、憧れの女性?本書のマドンナは後者ですが、マドンナは20代の職場の部下で、マドンナに恋してしまうのは40代の上司(妻子あり)。一方的な片想いではありますが、想いは大きくなるばかりで…。
表題作「マドンナ」を含む5つの作品が収められた短編集の主人公は、いずれも40代の課長職の男性。にこやかではあるけれど隙のない女性が上司となった「ボス」が一番好きだなと思いました。
時間は巻き戻せませんが、この本が出版されたころは、私もまだ20代。あの頃に読んでいれば、職場のおじさんたちの気持ちが少しは分かったのかしら?なんて思いました。それなりの年月 働いてきて分かることもあるけれど、今度は逆に若者の気持ちが分からないから…、結局、その時々の自分の考え方しかなくて、あの時に読んでも、なんとなく分かった気になるだけかもしれませんが。
若いうちは同期とも差がほとんどなくて、50歳過ぎればある程度決まっていて、40代前半ぐらいが今後のキャリアの境目かもしれないですね。そして、家庭では子どもが反抗期やら進学で難しい時期だったり、親の介護が気になりだす時期だったり。なかなか密度の濃い年代かもしれません。「四十にして惑わず」っていうのは嘘だよなぁ~と思いますが、平均寿命が伸びている分、四十は今の六十ぐらいだったりするのかな。私は一生、迷ってばかりいそうですが。