本棚:『栞と嘘の季節』
『本と鍵の季節』の続編、シリーズ2作目。学校の図書室に返却された本に挟まれていた栞。栞には押し花が使われており、手作りと思われたが、その押し花の名はトリカブト。
前作は短編集でしたが、本作は長編なので読み応えがありました。持ち運びやすさと解説がついていると得した気分になるので文庫本の方が好きですが、こちらはまだ文庫版が出ていないので単行本。続きが気になって、通勤の電車内でも、重い単行本を広げて読みました。
この物語の高校に自分もいたならば…と考えると、めちゃくちゃ怖いですが、ちょいちょい出てくる堀川と松倉の言葉の応酬が、高尚というか知的なのだけど、おふざけでもあって、そこにちょっとニヤッとしてしまいます。そんなことよく知っているなぁと思うところが多いけれど、タクシーの乗り方(行先の伝え方)がわからなかったのは意外とツボで、なんとなく可愛く思ってしまいました。
登場人物たちは高校生とは思えないほど大人っぽいよなと思う一方で、やっぱり彼らは高校生であって、学校なり家庭なりの枠組みから逃れられないところはあるんだよなと思いました。ほとんどの学生たちは安心感を持って、のびやかに生活していることを望みますが、切り札を持つことが支えとなることもあるのでしょう。でも、最終的には使わずに済むことを願います。