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組織はなぜ凄いのか

今日は組織についてのお勉強だ。

組織というものについて、私はなんとなく知っている気がしていた。

それは15年以上「会社」という組織に身を置いてきたという経験的な理由もあるし、「組織」自体に興味を持っているつもりもあった、つまり少しばかり情報を集めていたからというのもある。

ほらティール組織とか、Netflixの人事戦略が凄いとか、これからはアライアンスだとか、色々知ってるでしょ?

でも怠惰な私は流行り言葉を抑えてはいても、組織構造論や人材マネジメントについてのまともな教科書を読んだことがなかったのだ。

そんなわけで今回は3冊(+スピードテキストの一部)まとめ読みして、組織についてあらためて考えてみた。



基本のキ:存続し続ける組織はみんなをハッピーにする

大変今更かつ当たり前の話で恐縮だが、「組織均衡」なる仰々しいことばを今回はじめて知って、おお……となった。

「組織均衡の中心的命題」から3点を抜粋する(本当は5つある)。

・それぞれの参加者は、組織から提供される誘因が、組織から要求されている貢献と等しいか、あるいはより大である場合にだけ、組織への参加を続ける。
・参加者のさまざまな集団によって供与される貢献が、組織が参加者に提供する誘因をつくりだす源泉である。
・貢献が十分にあって、その貢献を引き出すのに足りるほどの量の誘因を供与している(誘因≧貢献)限りにおいてのみ、組織は「支払能力がある」…存続し続ける(組織の均衡条件)。
                                 中小企業診断士スピードテキスト1:企業経営理論 P103.

この「組織の均衡条件」というのは、企業組織にあてはめるならそのまま「ゴーイング・コンサーンの条件」と言い換えてもよいものだろう。

つまり均衡条件を保って存続し続ける組織というのは、参加者が「貢献」すると、最低でもそれと同等、上手くいけばそれ以上の誘因を供与してくれるという、元本保証高利回りの夢の金融商品、あるいはインプットよりも多くのアウトプットを生み出し続ける夢の永久機関のようなものだったのである。(言うまでもなく貢献に見合わない誘因しか供与されない参加者が退出するからだけど)

なぜ組織というものに多忙な経営者が多大なリソースを注ぎ、やれ職能別組織だカンパニー制だマトリックス組織だと騒ぐのか。
なぜ私は自分の価値提供と関係なさそうな謎の書類を印刷して、上司のカレンダーを調べて「部長は月末最終日に終日外出してしまうので明日中に印鑑をもらわなくては…」などという理不尽な行動を矯正されてもなお組織に属しているのか。

組織というものは、それだけ面倒くさいコストを払ってでも存続させる価値があるからだったのだ。

凄いぜ組織!僕もそんな組織に入りたい!!



でも組織構造自体は何も解決しない

ではいったい、組織というものはどんな手品のような仕掛けを使ってインプット≦アウトプットという不自然な状態を実現しているのだろうか。

答えは「共通の目的を持って、分業すること」

え、それだけ?

うん、シンプルすぎて少し自信がないが、多分そう。

理想的な分業(全てのメンバーが自らの最も得意な領域に特化し、求められているアウトプットを求められているタイミングで求められている方法で提供できる状態)なら、同じ条件での個人が組織の参加者と同じ人数集まった状態よりもはるかに大きな成果を出せるのである。

しかしもちろん、そんな理想的な状態は存在しない。分業は必ず調整され統合されなければ機能しない。つまり調整や統合と呼ばれるものは、分業の便益を享受するために必要なコストなのだ。

この調整コストを少しでもゼロに近づけるために、経営者は理想の組織の形を探り続け、インセンティブ設計に頭を悩ませ、従業員たちが自主的に摩擦を減らして個人的な感情や打算よりも経営目的の達成に心を傾けるように毎日朝礼で辻説法をするのだ。

組織が硬直化、あるいは腐敗してしまい、分業の便益を調整コストが上回る状態が続けば、組織は参加者の貢献を引き出すのに足りる量の誘因を供与できなくなり、組織の持続が不可能になってしまうから。

この調整コストの高騰を防ぐための最後の砦は「人」にしかならない。全ての参加者に組織の存続を強制できるような魔法の組織構造も人事制度も存在しないのだから。

とても心許ないことに、どんなに精緻な制度や組織を作ったとしても、運用する人間がわずかな緩み、邪心、個人利益の優先を始めれば遅かれ早かれ腐っていく。

それを食い止められるのが個々の人であるなら、組織にできることは1つしか無いように思う。

そういった腐敗を食い止め、組織の目的を達成するための行動を取れる人が当たり前であるという文化をつくるということではないだろうか。

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