夜の光と私の世界Ⅳ
夜の21時。辺りは暗くなっていた。私が住んでいるところはそこそこの田舎なため古い街灯がうっすらと光るだけだ。懐中電灯をつけないと怖いくらいだがもう長年すんでいるので道は分かる。家から歩いてきてもう学校は目の前だ。校門には夜の見回りの人と鈴山先輩、部長がいた。まだ窓宮さんは来ていないようだ。腕時計を見ると待ち合わせ時刻の2分前だった。
「こんばんは。今日はお願いします。」
私が来たことにすぐ気づいて部長が手をふってくれた。
「道で香織ちゃんに会わなかった?家が世流ちゃんと同じ方面だと思うんだけど。」
「いえ、会いませんでした。たぶん私より家が遠いので時間がかかっているのかも」
来た道を振り返る。でも人の姿はない。もう待ち合わせ時刻をすぎた。窓宮さんが来るのを待ってしばらくしたとき道の奥の方に走ってくる人影が見えた。
「すみませーーん!荷物入れてたらおくれましたぁーーーぜぇぜぇ」
窓宮さんは息を荒げていた。ふと背中を見ると望遠鏡のケースがあった。
「ちょ、香織ちゃん、望遠鏡持ってきたの?こっちで大きいの用意したって言ったじゃない。だから遅れたの?」
部長は急いで駆け寄って望遠鏡のケースを持ち上げる。
「だって、自分のがいいじゃないですかーーー‼」
そんな窓宮さんに部長に鈴山先輩にましては見回りの警備員のひとまであきれていた。でも私はそうではなかった。自分の望遠鏡を使ってみたいとおもったのだ。いつか手に入れたいな、、、、
「まぁもういいわ。とりあえず屋上に行くよ、早く準備しないと」
そう言って屋上までの道を急いだ。
屋上について部長と鈴山先輩が天文部用の大きい望遠鏡を持ってきた。その時に私と窓宮さんは窓宮さんが持ってきた小さめの望遠鏡の調整を始めた。
準備が終わりもう見始められるというときにビューと風が勢いよく吹き始めた。思いついたように部長が走っていき数分経って手にココアを抱えて戻ってきた。そのココアを天文部のメンバー、それに警備員の人にもあげていた。缶を開けてゆっくりと飲む。自動販売機のだけど温かかった。望遠鏡を使わずとも空を見上げれば満天の星空が見えた。
「あ!冬の大三角。今日の星は三日月ね、、、」
それぞれが星を見るのに楽しんでいた。私もだ。
「小毬さん、ちょっとこっち来て。」
そう言って屋上の一番高い所に窓宮さんといった。
「わたし、天文部の人たちと星を見れてうれしい!でも小毬さんがいなかったらこの楽しさはなかったと思うの。小毬さんは天文部に入ってよかったっておもえた?」
「うん。こんなに優しくしてもらえて、いつも放課後に星とか月とかのこと調べるのもすごく楽しいよ。きっとこれからも」
「そっか。だったら私と友達になって。たくさん遊びに行ったりするんじゃなくて今みたいにゆっくりと時を重ねていってどんどん仲良くなっていくの。私はそんな距離感が一番好き。」
「私も。今の距離感が一番いい。だからこれからもよろしく。」
そう言って話をする私たちを夜の光が照らしてくれた。いつまでもいつまでも、、、、、
終
追記
次回あとがきを書こうと思っています。よかったら見てください。明日に公開するかもです。(おそくなるかも。。。)