感情転移に注意
カウンセリングはクライエントの話を聴きながら感情の機微を読み解いていく。そんな側面があります。
ですが、話を聞いているカウンセラーも人間なので何でもかんでも受け止められるわけではありません。
とくに、カウンセラー自身にたいして、クライエントが気持ちをぶつけてこられるとなかなか対応が難しいわけです。
特に、理不尽に怒りをぶつけられた場合、訳が分からないことになります。さすがのカウンセラーも怒りを返してしまうかもしれません。
ただ、これが感情転移だということが分かっていると、少し冷静に対処できます。感情転移というのは、本来親や養育者に向けたかった感情を、別の人にぶつけるというものです。
感情転移は二種類あります。
陰性の感情転移=怒り
陽性の感情転移=恋愛感情
となります。
始めは、要請の感情転移で、ほぼ依存的に関わりを持ちますが、ある程度相手(カウンセラー)が信頼できる相手だと分かると、陰性の感情をぶつけてくる。
この前まで仲良く話しあっていたのに、「お前なんかカウンセラーじゃない」とか、「ぜんぜん話を聴いてもらえてない」など、否定するようなことを言ってきたり、連絡を無視したり、言葉にはしないけどムスッとした態度で向かってきたりします。
これをそのまま受け止めていてはたまったものではありません。
感情転移と分かれば、気持ちが静まるのを待つ、時には、言われたことが理不尽であっても謝る。といった対処ができます。
特に怒りというのはエネルギーを使うものなので、そんなに何時間も怒り続けることは普通はできません。
ですから、ひたすら聴くに徹することで、相手の高ぶった感情を沈めて、冷静になるのを待つことができるのです。
全ての怒りの感情を感情転移だと決めつけるのは雑ですが、理不尽な怒りのぶつけ方をした時は、感情転移だとみ立てても良いと思います。