ai小説糸かけの窓辺
私の名前は陽菜。高校3年生。
毎朝、窓辺に座って日記を書く。今日の日記には、「小指に赤い糸を見つけた」って書いた。嘘じゃない。本当に見えるの。細くて、柔らかくて、風に揺れる。
最初はびっくりした。でも、不思議と怖くなかった。むしろ、温かい。あったかい手を握られてるみたい。
学校に行くバスの中。糸が伸びていく。誰かに繋がってるのかな。そう思うと、胸がきゅんとした。おばあちゃんが言ってた。「運命の人は赤い糸で繋がってるのよ」って。
ある日、学校の廊下。ふと見ると、同じクラスの智くんの小指にも赤い糸。私の糸と繋がってる。
智くんは静かな子。でも、優しい目をしてる。廊下ですれ違うとき、「おはよう」って言ってくれる。その度に、糸がきらきらする。
文化祭の準備。智くんと一緒に糸かけアートを作ることになった。赤い糸で、星と月を描く。
「陽菜さんは、どっちが好き?星?月?」智くんが聞いた。
「月かな。満ち欠けしても、いつも空にいるから」
智くんが微笑んだ。その笑顔、月の光みたい。
完成した糸かけアート。赤い糸が星と月を繋いでる。私たちの指の間の糸と、同じ色。
文化祭の夜。屋上で花火を見た。
「陽菜さん、大学は遠くなるけど、この糸があれば大丈夫だよね」
智くんの言葉に、私は頷いた。花火が夜空に赤い光を描く。私たちの糸みたい。
卒業式の日。桜が散る中、智くんと別れた。でも、さよならとは言わなかった。だって、赤い糸は切れないから。
一年後、大学の図書館。本棚の隙間から、月明かり。そこに立つ人影。
「智くん?」
振り返る彼の小指に、あの赤い糸。まるで、ここに導かれたみたい。
私たち、また一緒に糸かけアートを作った。今度は、二つの月。
満ち欠けしても、いつも同じ空の下。私たちも、そう。