#15 挑戦を止めた時、成長は止まる。
大人になる(歳をとる)に従って、昨日の自分よりも今日の自分の方が長い時間を生きているのだから、今の自分こそが歴代の自分の中で最も成長しているべきだと思うが、現実は果たしてどうだろうか。
いつかの記事で、
人は自分の知らないものをまず否定しがちである
のような事を書いたと思うが、今回の内容はそれをより噛み砕いていく。
とある広大なマップのゲームで、自分が足を踏み入れたことのあるエリアだけがマップに表示され、そうでないエリアは未開になっている仕様のものがある。当然、未開のエリアには、どんなモンスターがいるか、どんな罠があるか、どんなアイテムが手に入るかは分からないし、死ぬ事なく進めるかどうかも定かではない。
こういった時に、
1.とりあえず行ってみる。
2.攻略サイトや人から情報を仕入れてから考える。
3.調べもしないし行かない。
の3パターンに分かれると思うが、自分で買ったゲームの場合、「1」と「2」がほとんどだと思う。自分で金を出して買ったゲームを途中で投げ出すのは勿体ないし、そもそも好きでゲームをやっているのだから当然だ。しかしこれが、人から無理やり押し付けられた興味の無いゲームだとどうか。「3」の割合が多くなるだろう。
これを、ゲームから人生に置き換えてみる。人は、自ら生まれたいと願って生まれてきたわけではない。「頼んでもないのに産みやがって」と言う人がいる。つまり、その人にとっての人生は、「自分で買ったゲーム」ではなく、「人から押し付けられたゲーム」の状態である。だから、新しい選択肢が現れた時に「3」を選択する。スタート地点の村から出ずに、ひたすら同じエリアで、限られたモンスターを倒し、限られたアイテムを探索する。当然、新たにマップが広がる事はない。
確かに、1つの村をこれでもかと探索すれば、その村のエキスパートになれるだろうし、外に出て得体の知れないモンスターと戦う危険性もない。だが、レベル1のスライムを倒すだけでは、いずれ経験値は入らなくなるし、新しいスキルも得られなくなる。宝箱を拾い尽くしてしまって、新しいアイテムも得られなくなる。ここが、人としての成長が止まる時だ。
出来るようになった事を自慢げに繰り返していても成長には繋がらない。1つの事柄が出来るようになったら次の出来ない事に挑戦する。これを繰り返す事で、人は成長する。挑戦を止めた時が、人としての成長が止まる時だ。
その人1人の成長が止まる事は一向に構わない。
だが、例えば、その人の子供や、大切な人が、自分の知らないエリアに行こうとした時、その人はどうするだろうか。恐らく、行かせようとはしないだろう。「わざわざ危険を冒す愚か者だ」と罵倒するだろう。
逆に、自分が挑戦をして成功体験を得ている人ならば、新しいエリアに向かう者を止めるようなことはしないだろうし、むしろ、アドバイスをしてやれるだろう。
知らないものを嫌い、敬遠する者は、ただ自らが挑戦して成功した経験が無い者だ。そんな者が、短い物差しで人を測るな。足を引っ張るな。自分の「普通」を押し付けるな。
成長とは、大人になるとは、いかに長く生きているかではない。いかにマップを広げ、多くの経験値やスキル、アイテムを得るかだ。そして、その経験を生かして、新たに挑戦する者の手助けをする事だ。