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中米・グアテマラから有機農業を学びに日本へ【アジア学院2022年度学生紹介】

世界中から学生たちが集うアジア学院。今年は創立以来受け入れ初となる中米・グアテマラから2人の学生が入学しました。26時間かかった日本までの長い旅路、そしてアジア学院に来た理由とは?
入学して約1か月になる、マルティータとエステルに聞いてみました。

ー自己紹介をお願いします。

マルティータとエステルです。共に現地の団体であるCEPAC(Conferencia de Iglesias Evangelicas de Guatemala)で活動しており、農業指導や教会学校で子どもたちの教育支援をしています。また、私達はいとこ同士でもあります。

マルティータ(左)とエステル(右)

ーグアテマラ、そして故郷について教えてください。

グアテマラはメキシコの隣、中米に位置する国です。

グアテマラは中米の国々のうちの一つ

私たちは、グアテマラの西部にあるキチェ県の「ネバフ」という山々に囲まれた標高約1900mの村で生まれ育ちました。

「ネバフ」はグアテマラの西部に位置します

先住民族であるマヤの人々が多く暮らし、グアテマラの公用語スペイン語のほかに、「イシル語」という言語が話されています。

故郷・ネバフの風景
野菜作りも盛ん。こちらは育てているトマト。

伝統的な機織りも有名で、今も人々が普段着として着ている民族衣装は「ウイピル」と呼ばれ、それぞれのマヤの民族によって柄が違います。
私たちが着ているウイピルは、家族が丁寧に手作業で作ってくれたものです。

色とりどりの糸を使い、手作業で仕上げられている

ーグアテマラはどんな食事を食べていますか?

主食はとうもろこしです。とうもろこしの粉を練って生地を作り、薄く伸ばして焼く「トルティーヤ」とインゲン豆の一種である「フリホーレス豆」の煮ものをよく食べています。アジア学院に来てからは毎日お米を食べているので、トルティーヤが本当に恋しいです(笑)。

トルティーヤとフリホーレス豆の煮物

あと、ネバフの郷土料理である「ボシュボル」も今とても恋しいです。カボチャなど瓜系の野菜の葉とトマト、とうもろこしの粉を合わせて作る料理です。

ネバフの郷土料理「ボシュボル」

ーアジア学院に来るまでの経緯は?

私たちが活動している団体のCEPAC(Conferencia de Iglesias Evangelicas de Guatemala)も招かれた、「持続可能な農業のための研修」に参加されていた方からアジア学院について伺いました。
グアテマラはもちろん、ネバフの外にこれまで出たことがなかったので、海外で学びたい、これまで行ってきた活動をより良くしたいという思いから応募を決めました。2019年に応募し入学許可を得たのですが、翌年2020年から新型コロナウイルスがまん延し始め、来日のためのビザが下りず、入学まで約3年待つこととなりました。
先の見えない中で諦めようと思ったこともありましたが、一度きりの人生色んなことに挑戦したいと信じ続けました。そして今年の4月9日に来日のためのビザが下りました。(ちょうどこの日は、アジア学院で入学式が行われていた日でした!)
3年待ってようやく、アジア学院に入学することができました。

ーやっと決まった来日、日本まで長い旅路でしたね!

はい。ネバフからまずバスでグアテマラの首都まで行き、飛行機でまずメキシコへ。メキシコから日本まで14時間のフライトを経て、成田空港からアジア学院までは車で約3時間。故郷の家を出てからアジア学院まで合計26時間かかりました。
また初めての飛行機だったこともあり、緊張で落ち着いて休めませんでした。なので、アジア学院に到着したときは本当にほっとしました。

2022年4月23日 成田空港に到着しました


ーアジア学院に来てから1ヶ月が経ちますが、学んでいて特に楽しいことはどんなことですか?

マルティータ:
私は動物が好きなので、家畜について学ぶのがとても楽しいです。今はヤギの世話をしていて、はじめはヤギ小屋を毎日きちんと掃除することも驚きでした。グアテマラでは森に連れて行って放牧していますが、アジア学院では栄養も考えて麦やおからなどを与えていたり、日々搾乳をするのも初めてのことなので、学びが多いです。

朝と夕方の1日2回、ヤギの搾乳をしています

これから、養豚についても学びたいです。故郷では豚の飼料を外から買っているため、身の回りにあるもので飼料を作る方法を学びたいです。

エステル:
私は、実践的に体を動かして学ぶ時間が好きです。今は畑で夏野菜の定植をすることが多いのですが、その際に使う肥料の「ぼかし肥」や「コンポスト」は新たな学びでした。どちらも微生物による発酵の力を利用して作られますが、これまで「発酵」させて肥料を作ることを考えたことがなかったので、驚きの連続でした。

鶏糞や米ぬかなどでつくる発酵肥料「ぼかし肥」

故郷の家では調理の際に出た野菜の皮などはすべて飼っているうさぎ等の動物にあげることにしか使っていませんでした。
帰国したらコンポストやぼかし肥作りに挑戦したいと考えています。

ーグアテマラの故郷の人たちを思うとき、今一番にしたいことはどんなことですか?

私達もそうであるように、現地では先住民族マヤの特に女性たちが抱える困難は多くあります。グアテマラでは今も貧しさが大きな課題であり、併せてアルコール依存症や民族同士の差別意識などの問題も抱えています。これらの様々な問題が合わさり、シングルマザーの家庭も多く、金銭面はもちろん栄養面も厳しい状況にある人々がいます。そうした女性たちや子どもたちを支援する団体も各地域にあるので、そのような団体と協力して、女性のエンパワーメントをしたいと考えています。

また故郷では、野菜は単一栽培で育てるのが主流ですが、アジア学院でそれぞれの野菜の特性を生かして多品種栽培で育てているので、これからの研修で学べることを楽しみにしています。多品目で野菜を育てることで、現地で栄養面の改善にも取り組みたいです。

アジア学院での学びがそうであるように、私達も実際にみんなと体を動かしながら野菜づくりや動物の世話をして、知識を分かち合いながら一緒に働いていきたいです。



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