Poem)傘… 9 Arim(ありむ) 2020年4月17日 18:44 その人は傘屋さんだった。通り雨がよく来る年だった。お店は駅の通りを一筋左へ入った角にあり、「傘あります」、と白い貼り紙があるだけだった。通行人は雨に気づくと、傘を1本手に取っては、横に置かれた青い箱に、お金を置いていった。昭和の木枠のガラス戸。店の奥でその人は、傘を作り、毎日貼り紙の文字を書いていた。移りゆく人々の頭の中に、反芻されるこの言葉は、街の灯りとなって、光っていた。 #Arimの詩 #詩 #現代詩 ダウンロード copy いいなと思ったら応援しよう! チップで応援する #詩 #現代詩 #Arimの詩 9