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Poem)こんな日は、空を見に歩いてこようと…

こんな日は、空を見に歩いてこようと
寝静まった夜、誰にも気づかれずに
隠れ部屋の階段を上っていく

電気などつくわけもない
昭和のはじめに作られた
古い家の裏階段
昔の家には2つ、3つ
隠すように階段があったもので

細くて一段一段が急勾配で
着物の裾をたくしあげて
トントンと上っていったのだ

そう、古い階段には
この階段を上った人の
足音が聞こえてきそう
話し声や
濃縮された時間の匂いが
階段の一段一段の記憶に
染み込んでいる

蓋のような小さな扉を
開けると階段の先には
屋根裏部屋が広がる
低い天井の
さらに木枠の天窓を外す
そこには満天の星が
降り注いでいる
目をつぶると
銀河が流れる滝のような音
星の川音が途切れなく聞こえてくる
星のざわめきがあたりを包み込む

決して目を開けてはいけない
決して1人では聞いてはいけない
と言うのが
この家の言い伝え。
守られた約束。
私はだが異邦人のように
約束を知らなかったと
目を開いてみる

そこから始まる今日の階段、
振り向けば、
昨日の階段も消えてはいない

#Poem  #詩  #現代詩

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