雨を連れて歩いている少女がいた
少女の後ろにはいつも
雨が降っている
少女が振り返ると雨は止み
前を向いて歩き出すと
ふたたび音を立てて降り出す
少女は何日も歩き続けた
少女は茶色い砂の国に呼ばれた
灼熱に焼けて咲く砂の花を
見るために
少女は青い空の国に呼ばれた
天上の深い底に根を伸ばし
眠るように咲いている青い花を
見るために
少女は白い大理石の国に呼ばれた
王様の誕生日に咲くという
白い石の花を
見るために
少女は悲しみを刻む人々の国に
呼ばれた
湧き出る泉の横に座り
涙に触れると光る花を
見るために
私の傍らで
少女の降らせる雨が
透明な花を咲かせて通り過ぎる
#詩 #現代詩