深夜になると、精霊の森の扉がひらく
入ってもいいよという代わりに
目の前に、鍵のかかっていない
扉が現れる
扉の入口に頭を出したキノコに
暗号を複数回、言わなければならない
昼間のうちに集めた花束と
緑や黄色の両手いっぱいの葉、
詩の言葉
涙を貯めたガラス玉
キノコは自分好みのお土産に
満足すると
傘をひらきあっという間に
土に溶けていく
精霊の森の扉は、開きかける
午前零時
ここからは一本道がつづく
自分の道に立って進んでいく
にわかに道を誘導する鳥の羽の影が
見える
私は詩の言葉を呟けという道を進む
#詩 #現代詩