これはソフト化されなくて当然だわ「ジャイアンツのこども野球教室」(1977)
この間、友人の家でこれを観ました。というか、観てしまいました。知り合いが東映チャンネルに入っているので、それで録画したやつを観たという感じです。
時は、まだ名前が「東映まんがまつり」だった頃。これと「世界名作劇場 白鳥の王子」「コン・バトラーV」「大鉄人17」「ドカベン」「一休さん」が同時に上映されたのですが、読売巨人軍のファン以外、というか野球のファンでも非常に退屈な短編映画だったと思います。
大泉の東映スタジオ近辺にある弱小少年野球チーム、「子供ジャイアンツ」は、野球が好きなのですがいかんせんとても弱い。そこで、コネがあったのか何だかよくわからないですが、多摩川球場で練習をしていた読売ジャイアンツの選手らに野球コーチをしてもらいます。登場する選手は、それなりに名前が知られています。
ご存じ王貞治!
棒読みだけど貴重な現役時代のハリー!(張本勲)
後に「頭を割って中を観てみたい」発言などインテリヤクザぶりを発揮する、まだ中畑清にレギュラーを明け渡す前の高田繁!
鈴木一郎の振り子打法を辞めさせようとした負の功績で後に有名になった、まだ選手だった頃の土井正三!
まだまだバリバリだった悪太郎!(堀内恒夫)
そして、長嶋茂雄監督!(一期目)
茂雄は、本当にいつもの調子で(何を言っているのかよくわからない)やっているのですが、悪太郎は変化球の投げ方もきちんと指導して、そこは結構ちゃんと時間を取っています。
ですが…ドラマの部分が非常に弱い。どうしようもない。
「がんばれベアーズ」的な話にもならず、ただ弱小チームの試合風景を見せられ、選手の練習とか指導場面が続き、そのまま終わってしまうんです。最後は、子供ジャイアンツが多摩川グラウンドから帰るところで終わってしまいます。
…え…?
そこは、「堀内さんから教わった投球でストライクを取れた」とか、「土井選手の内野守備のコツが試合に活かせた」とか、そういうのは無いんですか?
無いんです…。
なので、当時これを観た子どもは困惑したと思います。熱心なジャイアンツファン以外の子どもなら、寝ていたと思います。
この映画は、1977年3月に公開されたのですが、その年のジャイアンツはというと、ひたすら1位を独走し、王がハンク・アーロンの本塁打記録を抜いたものの、阪急に破れたという年でした。そして、翌年はまさかの2位に転落し(その年は、広岡ヤクルトが初優勝した)、オフに江川事件(空白の一日)が起き5位に転落。その翌年も3位で茂雄は退任しました。
なので、ある意味「長嶋巨人」(初期)の栄光を描けていたという意味では貴重だったかな、とは思います。