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設計(者)プロポーザルをリ・デザインする#008:選定・審査委員会を組織する(人数と自治体からの委員選出)

プロポーザルで設計者を選定する場合、その選定・審査の任を負う委員会を組織することが一般的です。その考え方・進め方を整理します。

まず、人数は絶対に奇数にします。偶数にすると、委員間で意見が割れた場合に収拾がつかなくなります。偶数で票が割れたら委員長の判断で決するというのも手段ではありますが、委員長の任を負う方の負担が大きいですし、なんのための委員会かということにもなります。これまでも委員長一任で決したプロポーザルで後に紛争めいた事態に発展したケースも耳にしますので、ここは意思をもって委員会として責任ある決定を行なう体制を整えましょう。その手立てが委員会の構成人数を奇数にすることなのです。

そのうえで委員の人数ですが、私は基本的に5名としています。理由は明瞭で委員間で意を尽くした議論を行えるようにするためです。私もこれまで何度か委員を務めさせてもらいましたが、委員間で十分議論するには5名が最適です。3名ですと少なすぎますし、7名だと多すぎます。もし、選定・審査において専門的な知見が必要である場合は、投票権をもつ委員には含めない専門アドバイザーのような形で別途任命するのがよいでしょう。

では、5名の委員はどのような方々に依頼するのがいいでしょうか。自治体が実施者である以上、2名は自治体職員から選出しましょう。このとき、自治体職員が5名の過半数を超えないことに注意します。過半数が自治体職員になると、公正・中立な選定・審査が行われることを担保しにくくなります。実際には公正・中立な、端的に言えばフェアな選定・審査を心がけても、第三者である提案者からすれば、実施自治体の職員が委員の過半数を占めるプロポーザルのフェアネスを信じる根拠はありません。

以上を前提とすると、自治体内部から選出する委員は副市町村長と教育長が適切です。いわゆる三役の二人であり、かつ副市町村長と教育長は行政の制度上は直接的な指揮命令関係がありません。それぞれの観点・責任から自由に発言しやすいのがこの二人であると思います。
なお、たとえば委員数を7名にして3名を自治体内部から選出するといった案を示されることがあるのですが、避けるべきです。副市町村長、教育長以外にもう1名を選出することになるわけですが、その方は首長部局・教育委員会のいずれかの職員ということになります。その立場で上司にあたる副市町村長や教育長と異なる見解を述べることはかなり難しくないでしょうか。

先ほど述べた委員に占める自治体職員の比率も同じですが、動機の純粋さは提案者からすれば信頼する材料にはなりません。せっかくのプロポーザルです。提案者からの信頼を上げる客観的な材料をつくることには念には念を入れましょう。


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