設計(者)プロポーザルをリ・デザインする#013:審査委員会は匿名か顕名か
自分が提案する側のプロポーザルの準備があったり、審査委員を務めるプロポーザルがあったりと少し余裕がなく、前回から日が空いてしまいました。
さて、人選等を述べた審査委員会ですが、委員を匿名とするか、顕名とするかについて述べていませんでした。結論から言うと、プロポーザルをリ・デザインする場合は当然顕名にします。これは絶対です。
そもそも従前のプロポーザルで顕名にせず匿名にする理由がわかりません。よく耳にする説明に選考の公平性を担保し、不正な事前接触を避けるためというものがあります。ですが、匿名にして伏せることが不正排除になるという説明は論理的ではありません。
逆に匿名にされていると、想像していなかった相手(自治体職員や外部有識者)が審査委員であった場合、困りませんか?面識のある設計者らが現在実施中のプロポーザルを話題にしてきた際、委員が匿名であればかえってその話題を忌避しにくいですよね。不用意に話題を避ければ、委員であることが知られてしまいますから……。
そんな面倒を避けるためにも顕名を徹底すればいいのです。そのうえで不正な事前接触を明確に禁止し、悪質な接触は失格にすればいいだけです。
実際、匿名の場合、いわゆる営業をかけている事業者はある程度の感触をつかむことがあるでしょう。外部有識者についてもアテがつくかもしれません。それは公正なことでしょうか。ということで内部委員、外部委員に関係なく審査委員は全員顕名とすることは必須です。
もう一つ、ときおり見かけるケースにもふれておきましょう。それは委員が行政内部の職員の場合、氏名が明かされず役職名だけが明かされている場合です。公告等では総務部長、企画部長、建設部長という肩書だけが公開され、氏名が公開されていません。しかし、これもナンセンスです。適切に情報公開をしている自治体であれば、おおむね課長級以上の職員は役職名と氏名がウェブで公開されています(組織図や人事異動内示書等)。
ウェブで公開されていない場合でも、書類自体は存在しますし、極論すれば役所役場の庁舎に行けば座席表等で調べられます(実際に調べたこともあります)。
ですが、これも意味のない労力を提案者にかけるだけです。さらに旧知の事業者を結果的には優遇しかねないと思うと、不公正の恐れすらあります。事業者選定に加わる以上、それは公権力の行使に他なりません。正々堂々と顕名を貫きましょう。その姿勢が自治体の信頼度を上げるのです。