設計(者)プロポーザルをリ・デザインする#002:参加登録を求めざるを得ない場合の対応
前回は「変える意思はあるが変える環境がないという場合、どのような手を打てるかを探っていきましょう」としましたので、その続きです。
つまり、プロポーザルを実施する自治体内での意思として、参加登録不要とできない場合はどうすればいいでしょうか。以下は現実的な対処ですが、あくまで次回は無意味な参加登録をやめるという意思をもったうえで読み進みてください。
公平公正という観点からは妥協策となりますが、プロポーザルの実施にあたって追加登録を受け付けるのが現実的でしょう。これはあくまで次善の策です。決してプロポーザル公告の時点で登録済みである事業者のみ、プロポーザルに参加できるといったやり方は、認めるべきではありません。それを許容した段階で自治体が謳う公平さも公正さも絵に描いた餅になります。
さて、いわゆる追加登録を臨時受付、または随時受付することになりますが、その受付タイミングはいつが望ましいでしょうか。少し考えてみてください。あなたが提案を出す側であれば、あなたが希望と熱意にはあふれるものの、事業を興して間もない側であれば、いつが望ましいと思うでしょう。
プロポーザルが一次、二次(最終)の2段階選考であれば、最終選考である二次選考の実施までに登録を終えれば十分と考えます。これは実は提案者への配慮のためだけではありません。プロポーザルを実施する自治体にとっても重要です。多忙を極めるプロポーザルの実施のなかで追加登録を処理するのは正直たいへんです。実際に登録受付事務にあたるのは他部署であるかもしれません。ですが、問い合わせへの対応は発生しますし、担当してくれる部署への配慮も気苦労が絶えないことでしょう。そういったことも考えると、二次(最終)選考に進んだ提案者のうち、追加登録が必要な事業者のみに対応するほうが合理的です。このやり方であれば、追加登録の対応が必要なのは実際には数社でしょう。
公平・公正な競争を実現しつつ、過度な事業者負担を回避し、あわせて自治体の事務コストも抑えるには、二次(最終)選考までの追加登録がもっとも妥当なところと思います。
ただし、繰り返しますが、これはあくまで次善の策であり、一度限りの妥協であるべきです。参加登録については、別にまとめて論じる機会をもとうと思いますが、この仕組みが「最少の経費で最大の効果を挙げる」という地方自治法の有名な条文にかなっているかは深く考えたいところです。