設計(者)プロポーザルをリ・デザインする#006:誰の実績までを含むのか
設計者の過去実績を評価するうえで考えておきたいのが、誰の実績までを評価対象に含むのか、です。
特に設計者はJV等のチームと考えると、意匠、構造、設備(電気、機械)、さらにはランドスケープの専門家が集います。提案者の実績を問うわけですから、これらの専門家が経験してきた実績を持ち寄ること自体は歓迎すべきでしょう。ですが、気をつけないと実績の名義貸しのような状態にもなってしまいます。さて、どう考えるべきでしょうか。
まず確認しておきたいのは、そもそもなんのために実績を出してもらうのかです。基本的にはその設計者が相応の設計実績を有しているかを確認するためだと思います。その際、必要としているのはどの観点からの設計実績でしょうか。一般的には意匠の設計実績を重視することが多いですが、ここが重視ポイントであるなら、一義的には意匠設計として関与した実績だけを評価対象にすべきでしょう。
ここが曖昧だと、設計JVで意匠を担当する設計者の実績がないのに、構造設計者の実績(構造設計として関与した設計実績)が評価されて実績点が高く評価されるという不思議なことが起きてしまいます。ちなみに別の観点では、同一プロポーザル内で重複エントリーが可能な設計者がいる場合(構造や設備は重複エントリー可能なことが一般的)、その実績を評価対象にすると評価に差がつきにくくもなってしまいます。
ただし、こうした一連の判断は機械的にされていいことではありません。上で述べたように、重要なのはなぜその実績を求めるのかという点です。まず、一度実績を求める理由を明文化すると考えが整理されるでしょう。