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維持管理BIM構築の自動化に必要なこと -モデリング・情報入力の自動化編-

建設業界では、建物の設計・施工だけでなく、竣工後の維持管理も重要です。建物の長期的な価値を最大化するためには、建物の状態を適切に管理し、必要な補修や改修を行う必要があります。この維持管理の業務を効率的に行うためには、BIMを活用することが有効です。

BIMを活用することで、竣工後も、設計時の情報を活用しながら、建物の状態を管理・監視することが可能です。BIMを建物の維持管理に活用するためには、BIMモデルの構築およびデータ管理の自動化が重要です。

今回は維持管理BIM構築における、モデリングと情報入力の自動化について解説します。


■維持管理BIMの必要性

建物の維持管理では、建物の状態の把握、修繕計画の立案、修繕工事の発注・監理などの業務が必要です。従来は、これらの業務を紙ベースの図面や帳票を用いて行っていましたが、BIMを活用することで、大幅に効率化できます。

BIMを活用した維持管理の主な効果は以下のようなものが挙げられます。

  • 建物の3Dモデルと情報の一元管理

  • 建物の状態を可視化し、修繕計画の立案が容易

  • 修繕工事の発注や監理の効率化

  • 建物の長寿命化と運用コストの削減

このように、BIMを活用した維持管理を行うことで、建物の長期的な価値を最大化することが可能です。しかし、BIMデータの構築や維持管理業務の自動化には、いくつか課題があります。以下でBIMモデルの自動構築と更新に向けた取り組みを紹介します。



■BIMモデルの自動構築と更新に向けた取り組み

建物の維持管理にBIMを活用するためには、まず BIMモデルの構築が必要ですが、手動でのBIMモデルの構築には膨大な時間を要します。
さらに、建物の竣工後も、修繕履歴や点検結果などの情報を適切に更新し、BIMモデルを最新の状態に保つ必要があります。これらのBIMモデルの構築や更新を自動化できれば、BIMを活用した維持管理業務の大幅な効率化が期待できます。

BIMモデルの自動構築と更新を実現するためには以下のような取り組みがなされています。

⒈設計データからのBIMモデル自動生成

設計段階で作成された2D CADデータや3DモデルデータからBIMモデルを自動生成するためのソフトウェアが開発されており、CADデータ解析や機械学習技術を活用して、自動でBIMオブジェクトを抽出し、BIMモデルを構築することが可能です。
これにより、設計データを活用してBIMモデルを効率的に構築できるようになっています。


⒉維持管理情報の自動取り込み

BIMモデルを常に最新の状態に保つために、建物竣工後や修繕履歴、点検結果などの維持管理情報をBIMモデルに自動的に反映する仕組みが必要です。
建物の運用段階で発生する修繕履歴や点検結果などの維持管理情報を、自動的にBIMモデルに反映する取り組みが行われており、IoTセンサーによる建物状態の自動モニタリングや、メンテナンス作業の記録をモバイルデバイス上で行い、BIMモデルに反映させるシステムなどが開発されています。これにより、BIMモデルを常に最新の状態に保つことができます。


⒊クラウド上でのBIMモデル共有・管理

常に最新の情報にアクセスできるように、BIMモデルをクラウド上で一元管理し、関係者間で共有する取り組みも進んでいます。クラウド型のBIMプラットフォームを活用することで、時間や場所を問わずBIMモデルにアクセスできるようになります。また、クラウド上で各関係者が協業しながらBIMモデルを活用することも可能です。



■AI/IoTとの連携による維持管理業務の自動化

BIMモデルとAIやIoTを連携させ、建物の状態監視やメンテナンス計画の立案などの維持管理業務を自動化する取り組みも行われています。

1. 建物状態の自動監視

IoTセンサーを活用して建物の温度、湿度、稼働状況などを自動的に収集・分析し、異常を検知するシステムがあります。これにより、建物の状態を常時監視し、適切なタイミングで修繕を行うことができます。


2. メンテナンス計画の自動立案

BIMモデルと建物状態のデータを分析して、最適なメンテナンス計画を自動的に立案するシステムも開発されています。過去の修繕履歴や建物の劣化予測、部品の寿命などのデータを活用し、効率的なメンテナンス計画を提案することができます。


3. 施工管理の自動化

建物の修繕工事に関する施工管理業務も、BIMモデルとAI/IoTの活用によって自動化が進んでいます。工事の進捗状況の自動監視や、工事に必要な資材の自動発注など、さまざまな業務の自動化が実現されつつあります。

これらのAI/IoTを活用した取り組みにより、BIMを活用した建物の維持管理業務を大幅に効率化することが可能です。



■まとめ

本記事では、BIMを活用した建物の維持管理を自動化するために必要な取り組みについて解説しました。

BIMモデルの自動構築と更新、クラウド上での共有・管理、そしてAI/IoTによる維持管理業務の自動化など、様々な技術的な取り組みが進められています。これらの取り組みにより、BIMを活用した建物の維持管理が大幅に効率化され、建物の長期的な価値を最大化することが期待できます。

今後も、BIMと最新のデジタル技術を組み合わせた、さらなる維持管理の自動化・効率化に向けた取り組みが進められていくことでしょう。建設業界においては、BIMを活用した維持管理の実現が、建物のライフサイクル全体の最適化につながる重要な課題といえます。

今回は維持管理BIM構築の自動化について紹介しましたが、維持管理BIMの概要や維持管理BIMを活用した業務の自動化については以下の記事にて紹介しています。

維持管理BIMの概要

維持管理BIMの自動化に必要なこと -運用の自動化編-



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