地域の挑戦者インタビュー vo.2 舟田篤史さん
今回お話を伺ったのは、大学3年時のある事をきっかけに様々な挑戦をされてきた舟田篤史さん。現在はオープンイノベーションを支援する企業に勤務し、事業会社やスタートアップなどチャレンジする人を支援しています。また、NPOエリア・イノベーションの応援者でもあります。
地域での活動に取り組み始めたきっかけや、現在取り組まれていること、更に挑戦するときの心意気までお話していただきました。
原動力は、「挑戦してみたい」という好奇心よりは、反発心や憤りみたいなもの
〇地域での活動に挑戦しようと思ったきっかけをお聞かせください。
大学3年生の時の就職活動がきっかけです。大学3年生になると進路を考えることを突然求められますが、よくよく考えてみると社会や仕事のことについて何も知らないなと思いました。社会のことを知るには大学の中に閉じこもっていてもだめで、社会に出ていくことでしかわからないのではないかと思って、当時住んでいた地域での活動に参加してみることからスタートしました。
〇自分の意志を強く持って行動するという「挑戦心」は小さい頃からですか?
いいえ、小さい頃からチャレンジしてきたというわけではないです。
原動力は、「挑戦してみたい」という好奇心よりは、反発心や憤りみたいなものが強かったと思います。
大学2年生までは勉強、バイト、サークル活動などが中心で、特に将来のことや仕事のことを考えなくても問題なく生活できますが、3年生になると突然就職活動のことや社会人になってからのことを考える必要に迫られますよね。
何でこんな突然なんだろうと。小学生とか中学生のころから社会のこと、仕事のことを知る機会や考える機会があっても良かったんじゃないだろうか、こんな教育の仕組みはおかしいのではないかと思うようになりました。何に反発して憤っていたのかわかりませんが。当時自分を悩ませた教育の仕組みに対してとかですかね。
〇具体的にどのような行動を起こしたのかお聞かせください。
まず大学3年生の時に、地域で活動をするサークルを立ち上げました。サークルでは、地域の活性化に取り組む団体のお手伝いやボランティア活動を行っていました。
地域に住んでいる人が考えていることや、地域特有の課題を知る機会となり、知れば知るほどその課題について考えることが出来ました。また、行動を起こしたことで、大学の勉強とアルバイトのみの生活から脱することができ、様々な人と出会うことができました。そこから視野が広がり、知見や考え方が変化していくことを実感しました。
〇その経験を通して、どのようなことを感じましたか。
小学生などの子どものころからでも仕事や社会を知る機会を作った方が良いということです。中学生や高校生でも良いです。現在の初等・中等教育の過程の中では、仕事や社会を知る機会はほとんどありません。望めば持てるとは思いますが、その頃から自ら望んで仕事や社会のことを知ろうとする人はそう多くはないと思います。
教育の仕組みとして初等・中等教育の過程の中で仕事や社会について知る機会を持てること。これが当たり前な教育の仕組みになったらいいのにという想いが生まれました。
仕事や社会との接点を子供の頃から作りたい
〇卒業後はどのような進路に進みましたか?
起業して、若者が地域に関わっていく活動を仕事にしたいと思っていました。どうやって仕事にしようか悩んでいた所で、NPO法人ETIC.(実践型インターンシップのコーディネート団体)に出会いました。
ETIC.を通じて様々なイベントに参加し、自分自身でも事業の立ち上げを模索しはじめました。事業化にはいろいろとチャレンジしたのですが、当初の想いにつながる取り組みとしては、小学生向けに土曜学校のようなものを開講していました。子どものころから仕事や社会との接点を持ってほしいと考えていたので、地域で働く大人に協力してもらい、仕事体験イベントのようなものを企画・実施していました。
また、地域に住む若者が地域の問題を知れるようなコミュニティ作りも行いました。若者と地域の大人を結び付けていく活動です。その他にも様々な事業を行ってきましたが、気づけば通算で10年くらい続けていたことになります。その後は企業に就職しました。
何か一つの領域に専門性を持ちたいという想い
〇企業に就職するに至った経緯をお聞かせください。
30代を過ぎると仕事観に変化が生まれ、何か一つの領域に専門性を持ちたいと思ったからです。大学卒業後に立ち上げた事業では代表者をしていましたが、「何でも屋さん」のようなイメージで営業・企画・経理・採用など全てを行っていました。しかし、一つの領域のプロと言えるようなものがありませんでした。世間的には、30代は20代での仕事経験を経て、専門性が高まっていく年代です。私の場合は、広く浅い仕事経験であったため、キャリア的な危機感を覚えるようになりました。当時の環境では一つの専門性を高めることは難しいと感じたため、企業に就職することにしました。
教育・人材育成に興味をもっていることから人事コンサルティング会社に就職しました。求められている仕事の質に対応すべく無我夢中で仕事に取り組みました。その後、人材サービス会社に転職しました。人事コンサルティング会社では「人を応援する側」であったため、次は「プレイヤー」として何か自分で行動を起こしたいと考えました。商品企画として入社し、社員教育のイーラーニングサービスを作る部門で仕事をしたり、人事系WEBサービスの新規事業の立ち上げをしたりしました。WEB系のサービスは進歩が早いので技術や消費者の好みの変化に対応し続ける必要がありました。この会社に数年勤務した後、再度転職し、現職に至ります。
現在はオープンイノベーションのプラットホームを運営する企業に勤務し、事業会社やスタートアップなどチャレンジする人を支援しています。起業や新規事業を作るのは大変だったという自分の経験も活かして、チャレンジャーを応援する仕組みを作っていければと思っています。
挑戦心は、自分らしい生き方を探していく中で自然と持てるようになるようになればよい
〇最後に、「挑戦したい」という想いはどのように生まれるのかお聞きしたいです。
自分の心が動いたり、衝撃を受けたりするようなできごとがあれば「挑戦したい」「何かやってみたい」という強い想いが生まれると思います。私の場合は就職活動がきっかけでした。無理やり持とうと思って生まれてくるものでもないと思うので、自分らしい生き方を探していく中で自然と持てるようになっていければ良いのではないでしょうか。
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