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犬の字

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犬にまつわるエッセイです。 ・ブンの死①~⑩
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#随筆

葉の名の犬④ 幸福 いつかの手記より

葉の名の犬④ 幸福 いつかの手記より

 

幸福 いつかの手記より

 早朝、おそらく五時半を過ぎたあたりだろうか。目を覚ました赤犬が、私が眠っているソファのそばに移動してくる足音がして、くんくんくんくん私の顔の匂いを嗅ぎに来た。硬いヒゲが顔中をかすめてちくちくする。尻尾はパタパタパタパタ際限がなく、朝から何て嬉しそうなこと。私は目を閉じたまま「おはようさん」とか「起きたのかあむにゃむにゃ」とか口先だけで赤犬の機嫌をとりながら、眠りを

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葉の名の犬③ 穂の名

葉の名の犬③ 穂の名

  

穂の名

 ところで、こうして犬に関するつれづれを忘れずにしたためようと思いついた以上、私の相棒犬についてもきちんと触れなければならないだろう。

 葉の名の年長にあたる私の相棒犬は、赤い毛色の雌犬で、一緒に暮らして早五年が過ぎる。

 彼女には、穂を冠する名を与えている。

 春夏秋冬。朝昼夕方月明かり。この地の美しい田の風景を、私に代わり物語る名。

二月二十日
メモ

・葉の名。軟便

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葉の名の犬①

葉の名の犬①

葉の名の犬

二月十八日

どういう巡り合わせなのだか、里親が見つかるまでの期間限定ではあるが、大型犬をもう一頭引き受けることになった。早くて一、二ヶ月。長くて半年以上はこの家にいるだろうか。けれど、「飼育放棄された」に加えてその他ウンヌンこれまでの経緯を聞いてしまえば手を差しのばさないわけにはいかなかった。こういう場合、決めるべき覚悟より情が先立つというものだ。

 

 昼、予め待ち合わせてい

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