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さらっと西洋建築史6〜教会建築の始まりと2つの原型について〜

313年、キリスト教が公認されると当時の皇帝コンスタンティヌスはキリスト教のための建築の建設を始めていきます。
その建築様式は、真新しく一新されるものではなく、これまでのローマ建築が培って来た積み重ねにより形成されていきます。一つは前回記載したバシリカ式、もう一つはアーチによる中心性を求めた集中堂式です。

バシリカ式と集中堂式の教会建築

キリスト教は集会という形で典礼を行うため、集会にふさわしい建築様式が必要とされていきました。その中で、バシリカの特徴である長方形の箱形の空間が自然と採用されていくことになります。

↓バシリカ建築の特徴はこちらから↓

バシリカの長手方向の一端に、祭壇が置かれるための司祭席のついたアプシスと呼ばれる半円形の突出部が加えられ、形式が整えられていきました。

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サンタサビーナ聖堂 写真:wikipedia

外観はシンプルですが、入り口から列柱を通り、司祭の占有空間となるアプシスへ向かうこの空間の軸線はバシリカ形式を用いることでより強化され、この様式の最も大切な要素となっていきます。
サンタサビーナ聖堂では列柱の上部にステンドグラスによる光が差し込みとても神聖な空間が形成されています。

一方、建物の端部に司祭席を設けたバシリカ形式とは対照的に、建物の中心性を高めその中心点に司祭席等を設置した平面形式をとる集中堂式の建物も多く築かれていきます。

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サン・ロレンツォ・マッジョーレ教会 写真:wikipedia

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サン・ロレンツォ・マッジョーレ教会 写真:travel.jp

集中堂式の建物も外観は質素ですが、円形や正多角形の中央の空間にはドームが架かり、堂の中心、ドームの頂点へと向かう求心的な上昇感がこの形式の空間の本質です。

バシリカ式はミサなどの集会儀礼を行う教会堂に使われることが多く、集中堂式は、洗礼堂の他、教会堂、殉教者記念堂など多様に用いられました。

また2つの様式を混ぜ合わせた建物も形成されていきます。
コンスタンティヌス邸がエルサレムに建てた聖墳墓教会堂のように記念する場所に集中堂を建て、それに連結してバシリカ式を建てる複合建築もその一つです。

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聖墳墓教会堂 イラスト:ガリヤラ湖ほとりにて

この2つの形式は以後の教会建築のベースの形式として多用されていくことになります。

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