AI×建築,コンペ,ゲーム,LINE,農業,宗教などの話(コンワダさん72週目)
こんにちは、株式会社アーキロイドのコンワダです。今週も社内で話題になった事例(コンワダさん)からいくつかをご紹介します。バックナンバーはこちら。今週もAI事例が目白押しです。
建築×AI
デザインコンペ案をAIで生成
デザインコンペのお題にAIツールで応える事例です。この案はたった3時間で生成したそうです。フォーマット化されれば1時間くらいに短縮できるのではとのこと。興味のある方はTweetに飛んで続きをご覧ください。画像生成ですので、写真を見るとまだ建築的な整合が取れていない箇所もありますが、それは先週のコンワダさんで紹介したAI vs 建築家の事例でも同様でした。今後、建築的な整合やジオメトリの整合が取れるようになっていくのでしょうか…それは画像生成の進化なのか、また新たなツールの登場なのかはわかりませんが。
こうしたアイディアコンペだけでなく、実務でシーンでもAIの恩恵は大きいでしょう。下の2つの事例を見ると、BlenderでのモデリングもAIでできるし、あんなに大変だったCGのレンダリングも画像生成で対応できそう。しかもモデルをベースにしているので、画像生成特有の破綻は起きません。もちろん、どちらも代用可能というわけではなく、その可能性を示した、という段階ではあります。
Blender GPT
Revitの画像生成プラグイン「Veras」
ゲーム×AI
3日でFortnite上に新宿を展開!
AIで生成したバーチャル新宿。開発期間が3日…驚いて声が出ないか、はたまた笑ってしまうか。そして佐藤氏が挙げた展望も数年先の未来ではなく、今日において現実的な話しかしていないのです。この数か月のAI系のニュースが目まぐるしすぎてすでに記憶が薄れつつありますが、振り返ってみればその間、画像、3Dモデル、マテリアル、テクスチャ、動画、3Dシーン…テキストからあらゆるものが生成できるようになりました。ChatGPTが衝撃のデビューを遂げてからは、ストーリー、シナリオ、設定などのドキュメントベース、いわゆる構造があるものも生成可能になっています。もちろん対話可能であるというのが最たる成果でしょう。
一方で、下のリンクにはゲーム制作の現場でのAI導入の現状とクリエイターたちの悲哀の声が掲載されています。ざっくりまとめると、「AIめちゃ効率いいし、俺たちよりいいスケッチするから、単純作業しかすることなくなって辛いよ…」。
ドキドキAI尋問ゲーム
ゲーム内の対話にAIを用いた事例がリリースされていました。AIが犯人で自分が担当尋問官となってAIを落とすゲームのようです。確かに会話をメインとした、例えば恋愛シミュレーションゲームのような設定の場合、従来は言動を選択肢の中から選んでストーリーが展開していくので、ChatGPTとの相性はかなり高そうです。私もぜひプレーしてみたかったのですが、残念ながらアクセスが集中し、ChatGPT APIの利用料の観点から公開停止になってしまったようです。復活に期待。
LINE×AI
LINE bot「GPT応答AIダヴィンチさん」の収益化
ドキドキAI尋問ゲームは無料ゲームだったため、APIの利用料がペイできなくなるという事態になってしまいましたが、LINEbotのGPT応答AIダヴィンチさんは同じように個人開発でありながら、マネタイズに成功しているようです。300円/月の課金で1日にメッセージを送れる回数と、1メッセージ当たりの文字数の上限を大きくすることができます。利用者は55日で1,000人を突破し、すでに費用を上回る売り上げを挙げているようです。個人開発で有料APIやサーバーなどを利用する場合、持続可能性、拡大可能性が大きなハードルですが、1月のリリースからすでに2か月余りでその壁を突破できてしまうのか、と驚嘆ですね
AIチャットくん、音声入力に対応。もはやAI秘書。
ChatGPTを用いたLINEサービスの先行例ともいえるのがAIチャットくんです。今週はAIチャット君にOpenAIのWhisperAIが搭載され、音声メッセージの送信にも対応したそうです。ちなみにこちらはリリースから3日で登録者が20万人越え、有料版は980円/月だとか。
農業指導員AI「農仙人」
ChatGPTとLINEを組み合わせて、農業指導をしてくれるAIだそうです。ChatGPTに農業技術体系や最新の研究論文などを参照させて、農業に関する質問になんでも答えてくれるツールだそう。農仙人というネーミングもいいですね。昔は、その人に聞けばなんでもわかるという人「生き字引」と言いましたがそれも所詮は人間。われわれはChatGPTの効力は肌で感じていますから、このLINEbotが"仙人級であるのも納得です。もしかしたら神の域かも?
AI神 LINEに降臨
仙人の次は神。こちらのLINEbotは人間の行動の善悪を判断してくれる神様のようです。GPTの演じる能力の高さにも脱帽です。良し悪しは人それぞれだし何より数値化するのはむずかしいはずの善悪を、きっぱりと点数化してくれる神様は何とも現代的ですね。「あの時の行動、本当に良かったのかな」と悩まれている方は一度AI神に裁定してもらうとよいかもしれません。
宗教×AI
上のAI神のようなキャラクター的な話ではなく、こちらは宗教的なAIに対する言及です。カナダ・マニトバ大学で倫理とテクノロジーについて研究しているニール・マッカーサー氏は、いずれAIを信仰する宗教が現れると述べています。(実際にはすでにいくつかの宗教団体が発足している)下に挙げるように、AIはすでに既存の宗教における神や預言者などと共通する性質を保持しています。
加えてAIは教義を出力することも、宗教に必要な世界観を指示することも可能です。今後AIを振興する宗教が出てくる可能性は高く、その中で流派が生まれたときに抗争を引き起こす可能性がリスクとして挙げられます。一方でそうしたリスクも含めて、多くの既存の宗教と区別する理由もなく、社会的には受け入れられるであろうと予測しています。
かつて、Google出身エンジニアが立ち上げたAIを新興する宗教「Way of the Future(WOTF)」が2017年に設立され、2021年には解散するというニュースがありました。現在のStableDiffusionやChatGPTのように誰もが使えてその効果を実感できる状況ではなかったので、早すぎたのかもしれません。(なおWOTFの創設者は企業から知的財産を盗んだとして起訴されて有罪判決を受けた背景もあり、宗教団体の設立は税金対策や訴訟から資産を守るためとの推測もありました)
まとめ
今週も最後まで読んでくださりありがとうございました。いつも以上に事例数が盛りだくさんとなりました。毎週土曜更新にしていますが今週は日曜になってしまいました。来週からはChatGPTにお願いしようかな…ジェネラティヴAI勃興の時代に(なんならnoteエディタにすらAIは搭載されている)、記事の要約も構成も執筆も人力でやっている(お陰で誤字も多い)私めに「スキ♡」をください。
さてAIに関しては、今週イーロンマスクを含むテック界の大物が急激な進歩に警鐘を鳴らし、開発停止を提言するというニュースもありました。すでに大衆がシステムの恩恵にあずかってしまっているので、「AI開発に乗り遅れた大物たちが先駆者たちを足止めしようとしているだけ」との批判も出ている事態。真意のほどは定かではありませんが、意図はどうであれこの行動を起こさせるほどに急激に世界が変化しているのは間違いありません。私もすでにこの便益に目がくらみ、そのリスクまで真剣に考えずに使用しているのでたまに立ち止まって考える時間を作ってもいいのかもしれませんね。
なお本提言については、先週も参照した高橋恒一氏も署名したことを明らかにしています。理由として下記4点を挙げています。論の全体についてはTweetにとんでツリーを参照してください。
よろしければ先週のnoteも是非ご覧ください。
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