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衛星画像から庭師の見積もり、ストリートビューから3Dシーン自動生成、カラスがゴミ拾い、の話(コンワダさん22週目)

こんにちは、株式会社アーキロイドの津久井です。
ふと、これまで紹介した事例の一覧を見ていたら、先々週(20週目)の段階で100事例を超えていることに気づきました。チリツモです。

それでは今週も社内で話題になった事例からいくつかを紹介します。バックナンバーはこちら

事例1:マップの衛星画像から庭師の見積もりを取得「LawnGuru」

【概要】
 LawnGuruはオンデマンド芝生サービスアプリ。消費者と庭師をマッチングしています。庭の持ち主は、LawnGuruアプリで芝生の鳥瞰図を表示し、敷地の境界線の書き出します。作業の見積もり・予約が可能で、ウーバーのように庭師の位置情報も確認できます。芝刈り、庭の片付け、種上、エアレーション、除草、食彩のトリミング、気の伐採、高圧洗浄、スプリンクラーの設置、家財の除去など、サービス内容は多岐にわたります。

LawnGuruアプリイメージ(記事より)

【この事例について】
 庭の所有者が、たとえ庭の広さや形状を説明ができなくても、自分で図る必要もなければ業者を呼んで相談する必要はありません。衛星画像と境界の書き込みだけで、イメージも面積も共有できます。顧客にとっても庭師にとっても面倒な工程をすっ飛ばして、肝心なサービスの部分だけを享受、提供できます(要は圧倒的なリードタイム短縮)。このことは、庭の手入れという仕事にとって衛星画像が優れたコミュニケーションメディアであることを表しているのかもしれません。
 LawnGuruは、位置情報と高精細な衛星画像があって実現しているサービスです。このようにデジタル地図は、自動運転、無人配送をはじめとして、今後登場する様々なサービスで欠かせないインフラです。本事例のベースとなるデジタル地図は2週目コンワダさんで紹介したMapbox。先週のコンワダさんでも、郵政のデジタル地図事業の事例の中でMapboxについて触れましたがすごい勢いで進化しているようです。Mapboxの最近のアップデートについてはこちらの記事にまとまっています。

事例2:Googleストリートビューからリアルならバーチャル3Dシーンを自動生成「Urban Radiance Fields」

研究ページ
研究ペーパーPDF

【概要】
 Googleストリートビューから取得できる情報を元に
、複数の視点の画像から合成して作り出す新たな視点画像と3D再構成を自動作成する手法
■類似技術との違い
類似技術:特定シーンの異なる角度から撮影した複数枚の画像を組み合わせる。
本事例の技術:常に動いているカメラから撮影する、スキャンプラットフォーム(Googleストリートビューなど)の取得データ画像を入力に使う。
■技術的ハードル
・カメラ、太陽の位置、露出の変化、映り込む空、同じ構造物でもカメラごとに色が変わるといった、画像の問題。
・LiDARで取得したデータは、シーンの遠方では解像度が低くなる、又はシーンの一部が完全に消失してしまう。
■解決策 NeRFの拡張
Googleなどが先行研究で開発した、異なる視点の複数枚の画像を手掛かりに、新規の視点画像を合成して生成する技術「NeRF(Neural Radiance Fields)」を拡張したモデルを使用。
■成果
既存の類似技術より優れた3Dシーンを出力した。

【この事例について】
 街並みや地形の3Dモデル、3Dシーンの生成は新しいニュースが続々と出てきます。事例1で紹介したMapboxのニュースにも、3Dの地形に関するアップデートが紹介されていました。

カナダ・ヌナブト州トール山の3D地形データ(Mapboxの記事より)

 先程、デジタル地図は新たなインフラであると述べましたが、こうした3Dシーンもつぎのステージのサービスにとってのインフラとなるでしょう。例えば、当社の提供するサービス「archiroid.com」にとっても大きな意味を持ちます。archiroid.comでは、誰もがWEB上で自由に住宅を設計できます。ユーザーは自分が設計した家をその場でVR内覧することができます。設計する具体的な敷地を選び、その地点のストリートビューから3Dシーンを立ち上げれば、家の外観を見るときによりリアルなVR体験が可能になります。私達のように、デジタル地図の次の次元のインフラを必要としているデベロッパーはそこかしこにいます。

▲現在のarchiroid.comのVR内覧モード

事例3:カラスにゴミ拾い訓練をするスウェーデン企業

【概要】
 ストックホルム近郊のセーデルテリエ市の新興企業CorvidCleaningが、カラスに煙草の吸殻を集める訓練をしています。吸い殻を拾ってきたカラスが所定の箇所にそれをを捨てると、少量の餌が出るデバイスを設計・設置しています。記事によると、カラスは人間の7歳と同程度の推論能力があり、この仕事に最も適した鳥だそうです。カラス同士が教え合うこともでき、誤ってゴミを食べるリスクも低いとのこと。
 スウェーデンの路上には毎年10億本以上の煙草の吸殻が捨てられており、これは路上のゴミ全体の62%に相当します。セーデルテリエ市では街路清掃に2,000万スウェーデンクローナ(2.5億円)を費やしていて、カラスの助けによって煙草の吸殻を集めるコストを少なくとも75%を節約できる。

【この事例について】
 人間はゴミ拾いのコストを下げることができ、カラスも餌を得ることができてwin-winの共生関係ですね。と思えればハッピーで希望的なニュースです。記事では強制しているわけではなく「カラスたちは自主的に参加」していると謳っていますが、それにしても人間が出したゴミを自然界の他の生き物に処理してもらうというのは、なんとも人間都合が過ぎる気がします。ゴミ箱に捨てればいいだけなのに。とはいえ、現状起きている問題は解決する必要がありますし、"持続可能な経済成長”のためには、極力エネルギー(お金も石油燃料も)使わない方法が望ましいのはそのとおりです。地球を"サスティナブル"にするために、自然界の生き物にも手を借りる。ゴミ捨場を荒らすカラスを迷惑がっているよりは、”いい関係”になれるのかもしれません。”エコロジー”。

まとめ

 今週もお読みいただきありがとうございました。ぜひ最後「スキ♡」を押して下さい!励みになります。
 20週を超えてくると当初のワクワク感が減り、最近は継続することが目的化していると感じています。コンワダさんは単なる事例紹介ではありません。私達はその事例をどのように捉え、なにを考えたのか。ある種の意見表明のようなものでもあります。「この事例面白いな!」と素直に思っても、面白さを言語化できるか、取り上げる意味はあるのか、と考えます。「シェアしたい情報だけどコンワダさんには掲載しなかった」事例はたくさんあります。
 10週前後までは毎度のようにスタイルが変わり、探っている感覚がありました。最近は良くも悪くも少し凝り固まっている感覚があるので、またスタイルを探りつつブレイクスルーしたい、と考えた筆者でした。もちろん今回のnoteも今できるベストnoteだという自負はありますが、来週のまとめはスッキリして書きたい!乞うご期待。

「今週、社内で話題になった事例」 について
株式会社アーキロイドの社内で話題になった事例(ニュース、リリース、書籍、動画、論文などなど)のうち、いくつかをご紹介します。元記事の配信時期は必ずしも今週とは限りません。数ヶ月前、数年前のものもあるかもしれません。

社外にこれを発信することで、
①アーキロイドメンバーが日々どのようなことに目を向けているのか、を知ってもらいたい。
②せっかく読んでもらえるなら有益な情報をお届けするために、自分たちの情報感度をもっと高めていきたい。
という目論見があります。

メンバーも大半が30代に差し掛かってきたので、備忘録という意味合いが一番強いかも。ご笑覧ください。

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