スマホで木材を即データ化、Twitterのおすすめアルゴリズム、サムスンがChatGPTで機密漏洩などの話(コンワダさん73週目)
こんにちは、株式会社アーキロイドのコンワダです。今週も社内で話題になった事例(コンワダさん)からいくつかをご紹介します。バックナンバーはこちら。2週間ぶりということで、少々古めの話題もあるかと思いますがご容赦ください。それでは行ってみよう。
スマホで木材を即データ化、管理販売するプラットフォーム「EMARFscan」
VUILD株式会社が、これまで流通していなかった木材の流通のためのプラットフォームのα版をリリースしました。原木の端材や工場で出る加工材の切れ端などをスマホで撮影し、サイズ、材種、東急、乾燥状態、保管場所などをデータ化し、DBに登録、販売することが可能です。形状はDXF形式で書きだすことが可能だそうです。特徴として①木材の流通プロセスの短縮・効率化②木材の低価格化③デザインの幅の拡張④地域貢献⑤循環型社会の実現の5つをあげています。
林業の現場や木材の加工工場に行くと端のほうに置かれている端材に目が行くことが多くあります。大量の”使える”木材が流通に乗らないがためにバイオマス発電の材料になっている現状もありますので、”使える”木材を救い出すことにつながると期待したいですね。消費者視点でも面白い材や味のある材は、ホームセンターなどではなかなか出会えないので、DIYユーザーなどにも楽しみなプラットフォームになりそうです。
Twitterの「おすすめ」アルゴリズム公開
Twitterをお使いの皆さんはご存じのように、Twitterではフォローしていないユーザーのアカウントもタイムラインに表示されます。昔はそんなことなかった、と言いたい古参ユーザーの方々も大勢いらっしゃるかと思います。いつからかおすすめTweetが表示されるようになり、それがウザいという人もいれば発見につながる人もいて。Twitterの改変はいつだって賛否両論ありました。先月末、イーロン・マスクが「コードの透明性を確保し、ユーザーの信頼を得る」との宣言の下、「おすすめ」タイムラインの投稿選択アルゴリズムを公開しました。
コードの中身を読み取ると、ユーザー自体にスコアが存在し、そのスコアによって推薦表示されやすさが変わることが明らかになりました。スコアは、ほかのユーザーとのやり取り回数とその質、アカウントの作成日やフォロワー数、フォロー/フォロワーの比率などによって決定されているようです。ほかにも課金ユーザーは優遇されていることも明らかになりました。また、Tweetに対してのユーザーのアクションによってその後のおすすめされる確率の増減も公開されています。
他にも、政府専用コマンドがあったり(選挙候補者を推奨、フェイクニュースの抑制など)、ツイートには寿命があったり(6時間ごとにツイートのスコアが半減)、新アカウントで外部リンクを張るとスパム認定されやすかったりするそうです。誰にでもできるTweetスコアの高め方としては、画像か動画をつけると、スコアが2倍になるそうなので実践してみてはいかがでしょうか。(そういえば私が高校生の時は、画像投稿もできなかった記憶があります。Twitterに画像投稿できるアプリがあって、画像は外部のアップロードサービスに投稿してそのリンクが貼られる形式でしたよね?記憶が定かな方、ぜひコメントしてください。)
SNSのサービサーにとって「アルゴリズムは秘伝の種」だと思います。中の人もユーザーもこれまでそう思っていたでしょうが、透明性が確保されるほうが全員の理解度、満足度が高まるという判断でしょう。よくできたアルゴリズムなのであれば後悔しても、それをハックするのには限界があるので実はたいした問題ではないのかもしれません。(「青い鳥の写真を投稿すると必ずおすすめされる」のようなアルゴリズムだと誰でも攻略可能ですが、3億人以上のMAUを誇るSNSにおいて他ユーザーのアクションを自力で制御することはほぼ不可能ですよね。)
最近ではTwitterという会社自体が消滅したというニュースもあり、イーロン・マスクに買収されたことで大きな転換期を迎えていますので、今後も1ユーザーとして同行からは目が離せません。
AI事例
サムスン、機密情報をChatGPTにリークして大問題に
業務で日常的に使用し始めると必ず起きるのが機密情報問題。すでにSAMSUNGではバグ修正のために機密コードを送信したり、議事録作成のために機密会議の音声をアップロードした問題が顕在化しています。SAMSUGに限らず、サイバーセキュリティ企業のCyberhavenが行った最近の調査では、3.1%の人が1度は会社の機密情報をChatGPTに入力しているそう。業務でChatGPTを使用しているのは、ネットリテラシーや情報感度が一般よりも高いであろう人々と想像できますが、こうした初歩的なミスを犯してしまうほどChatGPTが与えたインパクトが大きかったということでしょうか。
ChatGPTに仕事を奪われたライター
こちらの記事では、ChatGPTの登場により仕事を奪われたライターの声が紹介されています。「AIに仕事を奪われる」説の中でしきりにささやかれる「それでも優秀な人間は仕事を奪われない」説があります。この記事に登場するライターは「10年以上ライターとして働き、フリーランスとしてトップブランドと仕事をし、有名なウェブサイトで十数本の記事を公開(中略)私はChatGPTよりも優れています」と語るも、結局は企業の利益第一主義の前には、彼のライティングのスキルも無料のChatGPTにむなしく仕事を奪われたとのことでした。
文章以外にも、写真、絵画、イラスト、映像、ゲームなど、あらゆるクリエイティブシーンがこの数か月で大きなショックを受けました。前回のコンワダさんで取り上げた「ゲーム開発の現場でAIに仕事のやりがいを奪われてしまった」という声や、「中国でイラストレータの仕事を奪い始めている」レポートなど、安価(または無料)であることが評価されて、人間がクリエイティビティを発揮できなくなるとしたらそれは悲しいことです。人間の創作活動は、AIのように速くも安くもないですが、文化や文脈をくみ取り、アイデンティティが発揮されていることが少なくありません。有史2000年かけて培ったものづくりの土壌が、この半年で灰燼と化す文化的危機に直面しているのかもしれません。
オープンAI、バグ報告で報奨金 最高2万ドル提供へ
クリエイティブシーンで働く人にとってAIの急激な進化が逆風となっている一方で、みんな大好きオープンAIは絶好調のご様子。2023年の売上予想が2億ドルながら、すでに評価額は290億ドル前後とみられています。バグに対する報奨金を開始したそうです。ChatGPTを使い倒してバグを見つけよう。
まとめ
今週も最後まで読んでいただきありがとうございました。最後に「スキ♡」を押していただけると嬉しいです。
ライターがAIに仕事を奪われた事例を紹介しましたが、これは当然のように他分野にも普及していくでしょう。すでに司法試験や医師試験などの最難関と呼ばれる試験についてはAIが優れた結果を出すことは証明されていますが、実務面でも置換可能になっていくと言う人もいます。
小笠原さんは下記Tweetの中で、医師や建築士の業務は代替可能な部分が多く、それらの人の職能は最終的な判断や責任の部分だけを担う(またはその判断すらもソフトウェア化される)、既存事業者の在り方も変わっていくと述べています。こうした言説は新しいものではありませんが、すでにライターの仕事の消滅可能性が示されたように、国家資格や経験がモノを言う高度な専門職においてもその確度が高まったといえるでしょう。
さて私はいつまでキーボードをたたきながらこの連載を続けるのでしょうか。どこかでぬるっと全部note AIに置き換わっていたとしても、きっとあなたは気づかない。
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