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隈研吾がカンボジアでまちづくり、建築家vsAI、ChatGPTを賢くする呪文などの話(コンワダさん71週目)
こんにちは、株式会社アーキロイドのコンワダです。今週も社内で話題になった事例(コンワダさん)からいくつかをご紹介します。バックナンバーはこちら。
富山の住宅メーカー×隈研吾:カンボジアでまちづくり
富山県富山市の住宅メーカー「丸和」が、カンボジア中部にあるコンポンチュナン州で日本のノウハウを生かしたまちづくりを進めています。丸和は2019年に同国に進出し、分譲住宅などを手掛けています。同国の国土は日本の約半分で人口は1,600万人ほど。近年は外国資本による開発が相次いでおり、都市部では高層ビルが立ち並び、かつての景観が失われていくことを惜しむ声も上がっています。そこで自然環境にこだわった開発をするカンボジアの建設会社から丸和に依頼があり、建築家の隈研吾氏とタッグを組んでプロジェクトにあたることにしたそうです。丸和の社長は富山にある里山や水の美しさがコンポンチュナンにも共通のものがあると感じ、水と緑が美しいまちを目指すそうです。計画敷地は250ヘクタールで、寺院、学校、ホテルなどを建設して観光産業を創出、農場やバイオマス発電施設も整備して持続可能なまちにしていくそうです。
世界に少し遅れを取って日本でもこの10年弱、サスティナビリティが重視されるようになり人々の生活の指針から、経済活動まで大きな見直しを求められています。これは先進各国も同様でCOPなどの国際会議で持続可能性に関する目標値や実行計画が議論されています。
現在目まぐるしい経済発展の真っただ中にある中東や東南アジアでは都市開発も非常に盛んです。(東京もまだまだ再開発していて常にアンダーコンストラクションな感じですが。)日本には都市開発やまちづくりの成功も失敗もたくさんの知見があるはずなので、そうした国々にノウハウを提供していくことは、地球一体として考えたときに正しい結果に導ける可能性が高いのだと感じます。日本はかつて先進国だったが、これからは社会問題先進国でもあると、ファクトをもとに言われています。
地球規模の”社会的意義”だけでなく、日本の経済的メリットとしても注目できます。要は美談みたいな話だけでなくお金のチャンスかもしれません。日本には優れた建築家や都市計画家がたくさんいますし、日本の住宅の精度は非常に高いとされています。経済が発展している国は必ず都市やまちも発展していきますから、そうした国々にノウハウを売り込んでいくことができます。経済的に斜陽であるといわれている日本にとって、都市計画やまちづくりのため込んだアセットを使って世界中で稼ぎまくる!そんなチャンスになったら最高だ!なんて考えてしまいました。
ちなみにコンポンチュナンは首都から約100kmで、東京から宇都宮や沼津くらいの距離。そこで250ヘクタールのまちづくりです。以前この連載で紹介した新潟のスノーピークの街づくりが6,600坪で約2.2ヘクタールでした。その距離感でその面積…経済成長著しいですね。
建築家 VS AI -仁義なき設計バトル-
【動画要約】
チーム建築家とチームAIが同じ設計条件のプロジェクトに取り組み、プランニング、レンダリング、ディスクリプションの3つアウトプットを作成します。それをDiscordコミュニティ上で公開し、誰が作成したかを伏せて投票をしたところすべてのアウトプットでAIが勝利したという動画です。
投票者の決定要因はほとんどは”印象”であり、フロアプランもAIは美しい画像を作っているだけなので、建築として非成立又は不可解なスペースが存在しています。また、AIは他のAIのアウトプットやプロセスを調整すること、要はプロジェクトマネジメントはできません(StrongAIやGeneralAIと呼ばれるものが完成したら話は別)。時に数百万ドルになるプロジェクトの顧客に対して安心感を与えることも、結果に責任を取ることもできません。建築はクリエイティブな仕事ですがそれは芸術ではなく、複雑な条件や物理的なものとの反応でもあります。ゆえにAIが建築家に置き換わることはできません。この動画のようにいくつかのプロセスに分断した時にいくつかの箇所を担う可能性は十分にあります。実際の計画はこのように線形に進むわけではないので、建築家にはその非線形なプロセスを管理することも求められているのです。
建築家はAIに取って代わられることを恐れるのではなく、AIをいかに使いこなすかを考えるべきです。ただ、次世代のデザイナーや建築家のあり方は今とは変わっているでしょう。
面白い映像で見入ってしまいました。コメディタッチでテンポよくとてもサクッと観れるので、デザイン関係の方は是非元動画を!Midjourneyが出てきたときにクライアントワークのファーストタッチの部分が画像・動画生成AIによって大きく変わるとか、広告業界が刷新されるとか、そういう論評が多くありましたが、この企画を通してよりリアリティを実感しました。下のツイートの様に映像制作でも複数のAIサービスを組み合わせた事例が上がっています。実際にDiscordコミュニティの評価ではすべてで優っているわけなので、これからも”印象”の部分は握られていく可能性が高いのでしょう。
この動画、ほとんどAIによって作られているらしい
— 木内翔大|海外AIサービスの最新情報を毎日発信📣 (@shota7180) March 18, 2023
①ChatGPTを使用して全体のシナリオを設計
②Midjourney を使用して画像生成
③Runwayを使用して動画の元データに画像のスタイルを適用
④Boomy AIで音楽を生成
すごいなあ、一人でもこのクオリティのものが作れる時代に🤔 pic.twitter.com/mXT9pEKydG
その他のAI事例
音声入力からソフトウェアを作成AI
欲しいソフトやアプリが今その場で出来上がる世界線へ突入してる笑
— しょーてぃー / UX Designer & Prompt Designer (@shoty_k2) March 25, 2023
-やりたいことを声で伝える
-@Replit app が自動で実装する
-その場で使える💡
ということで、アプリを探すよりもその場で作ったほうが早いってケースが出てくるわけだpic.twitter.com/RcaTJ64NQ3 https://t.co/us9cXYXY43
「モックアップ作る」っていう間に作れちゃうやつ登場しました。
ChatGPTを賢くする呪文
興味深い!!!
— 河野 健一 生成AI ✕ 医療に注目! 手術支援AI CEO 脳外科医 (@CeoImed) March 24, 2023
「ChatGPTを賢くする呪文」(日経)
・ ChatGPTは数学のように論理的な思考を組み合わせるのが苦手
・ 呪文「一歩ずつ考えよう」を付け加えると、正答率が驚くくらい向上!
・ 数学の文章問題は正答率が17.7%から78.7%に上がったhttps://t.co/snVkvFRgZZ pic.twitter.com/W2VjbxgWmU
私も、会話の中での言葉の使い方でだいぶ結果が変わってくることを実感しているので、いい凡例をもらいました。
まとめ
今週は久しぶりにAIなんて言葉が入っていない事例がありました。カンボジアのまちづくりの事例です。その後結局AI祭りで皆さん忘れていませんか?最近AI事例ばっかり見すぎていて何か大事なニュースを見逃しているのではないかと心配になってしまいます。といいながらも最後にまたAIのツイートを紹介して終わる予定です。今週もぜひ「スキ♡」をお願いいたします!それではまた来週。
未来の不確実性が高まっている話
GPTでAI界隈が沸騰している。開発者も含めて誰も急激な性能向上の理由を理解出来ていない。普段は半年や1年で古くなるような時事ネタはあまり呟かないことにしているが、このところの動きがあまりに早く、未来に向けての不確実性が高まっているので、少し現時点でのシナリオ整理をしたい。(1/15)
— 高橋恒一 (@ktakahashi74) March 20, 2023
全脳アーキテクチャ・イニシアティブ理事の高橋恒一氏の連続ツイートが話題です。ところどころ難しい箇所もありますが、AIによってもたらされる目に見えるわかりやすい事象ではなく、本質的にどんな変化が起きていて、またこれから起こりそうなのかという話をしています。この中では2つのシナリオが描かれており、その違いは人間を超えるか否かです。言い換えればどちらにしても人間と同等以上に達することは確実視されているわけです。恐ろしいですね…。連続ツイートの中でいくつかピックアップして下に貼り付けますので、気になった方はぜひツリーを全部見てください。
1つ目は我々がこれまで演繹と思っていたものの大部分が帰納だったという可能性だ。例えばシマウマと聞いて縞模様のあるウマを想起するとき、ある特徴とあるモノとを組み合わせて別のモノを導き出すこれと同型のパターンはデータセットのどこかに含まれていた。(6/15)
— 高橋恒一 (@ktakahashi74) March 20, 2023
もし1つ目の可能性が正しい場合、計算量とモデル規模の伸びに対していずれ学習データ量が追従出来なくなり、「人類がこれまで言語その他の情報の形で書き溜めた知識の総体」を学習し切ったところで性能向上は頭打ちになるだろう。(11/15)
— 高橋恒一 (@ktakahashi74) March 20, 2023
2つ目の可能性が正しい場合には、当面は際限なく性能が向上するように見えるだろう。その場合、計算力に関する物理的な制約がクリティカルになることは何度か紹介している私の2018年の論文でシナリオ整理している通り( https://t.co/Lz2OdXsr8k )。(12/15)
— 高橋恒一 (@ktakahashi74) March 20, 2023
ロボットやネットツールなどを使って能動学習を行うAIの開発に根本的な技術上の壁はないので、そうなれば理論上は「人類のこれまでの知識の総体」を上限とする理由が無くなり、物理現象の時定数
— 高橋恒一 (@ktakahashi74) March 20, 2023
のみが制限として残る(上記論文参照)。このあたりがさらに先を見たシナリオ分岐に関係するだろう。(14/15)
「今週、社内で話題になった事例」 について
株式会社アーキロイドの社内で話題になった事例(ニュース、リリース、書籍、動画、論文などなど)のうち、いくつかをご紹介します。元記事の配信時期は必ずしも今週とは限りません。数ヶ月前、数年前のものもあるかもしれません。
社外にこれを発信することで、
①アーキロイドメンバーが日々どのようなことに目を向けているのか、を知ってもらいたい。
②せっかく読んでもらえるなら有益な情報をお届けするために、自分たちの情報感度をもっと高めていきたい。
という目論見があります。
メンバーも大半が30代に差し掛かってきたので、備忘録という意味合いが一番強いかも。ご笑覧ください。
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