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建物取り壊し後の景観をリアルタイムシミュレーション、島をまるごとNFT化『Satoshi Island』が販売を開始!、交通事故の再現ムービーが簡単に!な話(コンワダさん45週目)

 こんにちは、株式会社アーキロイドの亀岡です。今週も社内で話題になった事例(コンワダさん)からいくつかをご紹介します。バックナンバーはこちら

事例1:建物取り壊し後の景観シミュレーションを2種類の深層学習でリアルタイムに

―――概要
 建物を取り壊した後の景観をリアルタイムで表現する技術の研究事例。菊池 拓哉氏(大阪大学)による研究で、オックスフォード大学出版局の学術雑誌「Journal of Computational Design and Engineering」にオンライン掲載された。
 建物を取り壊した後の景観をシミュレーションするのに、DR(隠消現実)技術は用いられる。DRとは、現実空間に存在する物体をディスプレイ上から隠したり、塗りつぶすなどして、存在しないように見せるデジタル技術のことだ。これまで、DRを用いて景観シミュレーションするには、取り壊す建物や周辺の3Dモデルデータを用意するなど事前準備にコストを要していた。
 こうしたコストを削減すべく、この研究では、2種類の深層学習モデル(物体検出、画像補完)をサーバーで稼働させ、モバイル端末とネットワーク通信することで、将来景観をリアルタイムに表示させることを可能にした。また、画像補完された景観がどれほど正確なのか人の色覚に沿って定量的に評価することも可能だ。

概要図(プレスリリースより引用)

―――この事例について
 コンワダさんでも良く取り上げているVR(仮想現実)・ AR(拡張現実) ・MR(複合現実)などと並ぶ、いわゆるxR技術の1つであるDR「Diminished Reality」(隠消現実)に関する研究事例の紹介です。
 この事例の特徴は、なんといっても低コストでモバイル端末からリアルタイムにDRを表現できることに尽きます。低コストかつポータブルになったことで、再開発プロジェクトなど想定されていた既存の用途だけでなく、新しい用途や業種へと展開が期待できます。不動産業界であれば、再開発など大型プロジェクトだけでなく、住宅の建て替え検討の営業や設計にも使えそうですし、観光業界であれば、現在の建物を消して昔の景観を表示する体験ツールとしても使えそうです。
 他のxR技術と並んで、今後の技術開発が楽しみです!

事例2:島をまるごとNFT化『Satoshi Island』が販売を開始!

―――概要
 バヌアツ共和国に実在する島の土地をNFT化する仮想通貨プロジェクト『Satoshi Islandが8月8日から先行販売される。Satoshi Islandは、バヌアツ共和国に実存する3200万平方フィートのプライベートアイランドで、首相と財務相からも認可を受けた、いわば政府公認の建設プロジェクトだ。
 島の土地は、2100ブロックに分けられ、1ブロックは10 NFTs と交換することができる。交換した土地の所有権は、75年まで。島には、住居パッケージも用意されており、連結可能なモジュールを組み合わせることで数百通りの配置を建設することができる。また、島では独自のトークンとして「Satoshi Island COIN (STC)」を保有し、島の通貨やDAO(分散型自律組織)として機能する

用意されている住居モジュール(公式HPより引用)

―――この事例について
 以前、コンワダさんでも収入縮小が見込まれる日本の限界集落がNFTを発行する事例を取り上げましたが、お次は、オーストラリアとフィジーの間に位置するバヌアツ共和国からビッグドリーム感満載なNFTプロジェクトの事例です。外国人でも市民権をビットコインで購入できるなど、仮想通貨に優しい政策として知られるバヌアツですが、遂に世界で初めて実在する土地をNFT化するプロジェクトが始まります。Satoshi Island NFTの市民権には、今年の4月時点ですでに5万人以上の申請が殺到している盛況っぷりです。今月はじめにスリランカが「破産宣言」を出したのも記憶に新しいですが、コロナ禍であえいでいる観光産業が収入源を大きく占める国や地域はこの行く末をじっと見ているのではないでしょうか。
 また、Satoshi Island のNFT市民は、島を統治する政策について投票する権利を得ることができます。1つの財布につき1つの市民権を持つことができ、そのNFTが1票としてカウントされるそうです。政策の方針決定プロセス自体も注目を浴びそうです。ただし、少し紛らわしいのは、Satoshi Island のNFT市民権(以下、島市民権)とバヌアツの市民権は異なるということです。島市民権を得たからと言って、バヌアツの市民権を得たことにはならず、バヌアツの市民権は別途取得する必要があります。前述の通り、バヌアツ共和国の市民権も投資ルートで購入することができるのですが、その費用は仮想通貨でおよそ13万ドル(約1600万円)。バヌアツ政府公認プロジェクトとは言え、島市民権に対してどのような法的保証や権利が付与されるかどうかは、こちらも注目すべき点となっています。
 今後は、住宅建設が今年の第3四半期に始まり、第4四半期中にプライベートオープニングが開催され、一般公開は2023年第1四半期になる見込みだそう。その始まりから経過に至るまで、あらゆる分野から見逃せないプロジェクトになりそうです!

事例3:交通事故の再現ムービーが簡単に!メガソフトが新作ベータ版を期間限定無償公開

―――概要
 メガソフト株式会社が交通事故の再現ムービーを簡単につくれる「交通事故再現4Dムービー&レポート」のベータ版を公開。自動車や道路、標識、建物、人などの3Dモデルのパーツを配置して組み合わせるだけで、交通事故を簡単に再現することができるソフトウェア。再現した交通事故から、見取り図・3Dシミュレーション・報告書が作成される。3Dシミュレーションは動画として書き出すことも可能だ
 ベータ版の公開は2カ月間を予定しており、その間無料で利用することが出来る。その過程で得られたフィードバックを正式版に反映させ、製品版は2022年秋頃を予定。

―――この事例について
 さて、ラストは地に足をつけた日本の事例です。住宅プレゼンテーションソフト「3Dマイホームデザイナー」でお馴染みのメガソフト社による交通事故再現ソフトです。車両や人物等の3Dモデルパーツ毎に経路を設定し、交通事故を動画で再現します。このソフトの特筆すべき点は、運転席・助手席・通行人・俯瞰目線など様々な視点から動画を再生できるところにあるといえるでしょう。事故検証ツールとして用いられることを想定しているため、各証言を一人称視点で再現できる必要があります。人が誰かに体験を共有するツールでは、こうした一人称視点の表現は欠かせません。それは、住宅設計においても同じです。一人称視点に立ってみると、平面図では見れない視線の抜けや景色、動線に気がつくことができます。当社はWEB上で住宅設計ができるarchiroid.comを開発運営しています。設計した住宅案はすべてVRモードで内覧することができます。是非、お試しください。(※事故物件(バグ)がありましたら、お問い合わせまでご連絡ください!)

おまけ:世界のヴァナキュラー建築より「ナシュティファン村の風車群」

▲イランの良さを伝える杉森さん(@persianized_ken)のツイートより引用

また、暑い日が続くようになってきましたね。イラン北東部はナシュティファン村の風車群でも見て、風を感じましょ。

まとめ

 今週も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。シミュレーション空間の方が現実に近づき、現実空間の方が現実味を帯びてない様な事例回となりました。お楽しみ頂けたでしょうか?また、コロナ感染が流行っていますね。皆さま、気をつけて、良い休日をお過ごし下さい。


「今週、社内で話題になった事例」 について
株式会社アーキロイドの社内で話題になった事例(ニュース、リリース、書籍、動画、論文などなど)のうち、いくつかをご紹介します。元記事の配信時期は必ずしも今週とは限りません。数ヶ月前、数年前のものもあるかもしれません。

社外にこれを発信することで、
①アーキロイドメンバーが日々どのようなことに目を向けているのか、を知ってもらいたい。
②せっかく読んでもらえるなら有益な情報をお届けするために、自分たちの情報感度をもっと高めていきたい。
という目論見があります。

メンバーも大半が30代に差し掛かってきたので、備忘録という意味合いが一番強いかも。ご笑覧ください。

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