OSPにて1年間の活動を総括的に発表、活動を通して見えてきた課題とやるべきこと
皆さん、こんにちは。
Arch to Hoop沖縄の事務局担当・繁田です。
Arch to Hoop沖縄のイベント取材に来ていただいた琉球新報社の記者・黒田華さん、うむさんラボの日髙春奈さんからのお誘いがあり、3月22日(金)、23日(土)の2日間、両社が事務局を務める OKINAWA SDGsプロジェクト(OSP)の「年次フォーラム2024」に登壇 & ブース出展いたしました。
OSPは、「沖縄らしい幸せな経済と社会の実現」を目指した、課題解決のためのコミュニティで、課題解決のためにプロジェクトや事業を生み出し続けるプラットフォーム。2020年に16社でスタートし、年に3回のカンファレンス、年に1回の年次フォーラムなど、多様なイベントを開催しています。
3月22日、Arch to Hoop冲縄の理事・金城隆一(NPOちゅらゆい)と、事業リーダーの勝田駿平(モルテン)が登壇、「地元NPOと創るバスケW杯のレガシー(※)」と題して、Arch to Hoop冲縄の活動について発表しました。
※レガシー:長期にわたる、ポジティブな影響
<発表構成>
(1) 自己紹介・事業発足の背景(勝田)
(2) Arch to Hoopとして解決したい課題(金城)
(3) 初年度の活動と成果、現状の課題共有(勝田)
(4) トークセッション(金城・勝田・日髙様)
計40分間
バスケW杯のレガシーは、社会課題を解決しようとする企業やNPO、県民の間のムーブメンドづくり
登壇においては、モルテンの立場で参加した勝田でしたが、「モルテンとしてではなく、個人の熱量を伝える」「着飾った事業報告ではなく、現状の課題も素直にさらけ出す」「金城さんと役割分担をして『企業×NPO』の良いシナジーが出ている点を訴求する」
発表にあたり、勝田は、コロナ禍で厳しい状況に陥ったスポーツについて、エンターテインメント以外の貢献領域を考えました。それが、今回皆さんに特に伝えたかった、「スポーツの価値の再定義」です。
①フラットな空間での社会交流
②「する・みる・ささえる」といった多様な体験
③スポーツから生まれる “感情の揺らぎ”
①Arch to Hoopでの活動では移動式の3x3コートを使用しますが、このコート上に立つと、そこは大人も子どもも男女も関係なく、フラットな空間となり、それぞれが対等な立場で交流できるという“場”としての力があります。
②また、子どもたちの中にはバスケットボールをすることが苦手な子もいます。私たちは「(バスケットボールを)する」だけでなく、もちろん応援や観戦といった「みる」でもいいですし、会場整理、MC、ポップ・看板・タイムスケジュールづくり、会場での飲食提供、会場の場づくり(DJ、スコアボード等)などさまざまな“仕事・役割”が発生しますので「ささえる」立場の体験を大切にしており、子どもたちそれぞれの得意分野で能力を発揮できるようにしています。
③最後に、全体のイベント運営を通じて、特に “感情の揺らぎ”を大切にしています。感情の揺らぎは直感的に喜怒哀楽が熱量として表出したもので、何らかの次のアクションを誘発する要因となるものと考えています。「楽しい」「次もやってみたい」「ほかのこともやってみたい」だけでなく、「大変だ」「面倒くさい」「これは自分には向いてない」と気づくことも大事なことと考えています。揺らいだ感情と向き合い、大人も子どももそれぞれが自分なりに対処する経験ができることも、スポーツの持つ価値だと実感しています。
子どもの貧困対策はまだまだ対処療法、原因を改善する“川上”へのテコ入れが必要
一方、金城が伝えたかったことは、「子どもの問題が個人の問題ではなく、社会問題であること」。2013年に沖縄初の公設民営の居場所をつくった金城は、長年沖縄の貧困問題にかかわってきた経験も踏まえて、「沖縄の子どもの状況は格差があることで体験が奪われ、その結果で可能性が奪われること。さらに、少子化でますます格差も拡大していき、自分たちに関係のない話ではなくなってくること」を念頭に、登壇しました。
会場の関心を集めたのは、行政などが行っている現在の子どもの貧困対策は「対処療法」だということ。子どもの居場所をつくったり、支援員を増員したりすることも一時的には対処することができますが、大事なのは、賃金を上げたり、一人親でも働きやすい環境をつくったり、子どもを育てる(投資する)といった、もっと“川上”で根本的な原因を改善しないといけないというポイントを指摘しました。
登壇にあたり、勝田と金城は役割を分担。「モルテンや麻生グループさんがそれぞれの専門領域から一歩踏み出したように、課題解決を目指して皆が向き合っていくムーブメントを起こしていきたい。その中長期的な影響こそが、バスケW杯のレガシーとなると考えています。また、初年度は仮説検証のサイクルを速く回すことを重視して、現場活動をベースに実績を重ねてきましたが、現状は課題も山積みのため、次年度以降は地元企業にもArch to Hoopの土台づくりに参画いただきたいと思います!」とメッセージを込めました。
登壇後、2人は以下のように振り返りました。
勝田
「金城さんと、それぞれの視点で事業に対する想いをお伝えできたことは、説得力の観点で良かったと思います。また、後半にモデレーターの日髙さんとのトークセッションを組み込んだことにより、OSPパートナー企業さんにとっての関心事に触れることができたと感じたため、全体の構成は狙い通りに効果を発揮したと感じます。また、個人としての事業への気持ちや現状の課題感を素直にお話したことによって、登壇後、ブースに立ち寄っていただいた方も多く、『勇気をもらえた』『自分も何かできそうと思えた』などありがたいコメントもいただくことができました。会場内で具体的な参画表明はなかったものの、今回の登壇とブース出展によって、一定の認知拡大が図れたと思うので、引き続きアフターフォローしていきながら、仲間を増やしていきたいと思います」
金城
「次年度はもっと参画企業を増やしていきたいと思います。そのために何をすれば良いかを考えていきます」
と決意を新たにしました。
1年間で見えてきた課題に対して
皆と一緒に向き合いたい
試行錯誤しながら活動を進めて、今1年間を終えてみて、Arch to Hoop沖縄として課題に感じていることは、
(1) 沖縄で自走する仕組みになっていない
(2) 寄付に依存したビジネスモデルのまま
(3) 大人にとっての効果、メリットが明文化できていない
の3点。
これらの課題に関して、かかわっていただけるステークホルダーの方たちとともに、活動を進めていく所存です。
最後に、改めてOSP事務局の皆様に感謝をお伝えしたいと思います。こういった場で子どもたちの“体験格差”という問題を提起し、それに対する打ち手と課題感をシェアしながら、今後も皆でディスカッションしていけるようなコミュニティに発展していくと、まさにOSPが想定する“沖縄発信”で課題解決をリードしていけると思えました。
これからも、皆さまと連携して、Arch to Hoop沖縄の活動を進めていきたく、引き続き、ご協力のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
ぜひ一緒に盛り上げていきましょう!!
これからも、Arch to Hoop沖縄|公式noteをよろしくお願いします。
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